第815話 ユグドラシル16
「待って、待って、あなた稗月倖真だったの!? 凄く優しい人じゃない!」
あり得ない……と、ばかりに頭を抱えるチェリッシュ。
「チェリッシュ、あなたが〝ラタトイユ〟で言ってたパンを譲ってくれた人というのがこの彼なんですか?」
「えぇ、ソフィ。その通りよ。あぁ、もう! こんがらかって来た!」
さらに頭を抱えるチェリッシュ。
「取り敢えず、王宮へ移動しませんか? お茶も出ますし」
空気を読んだシルヴィアの提案に皆無言で頷いた。
*
〝ユグドラシル〟王宮・大広間
「おい、シルヴィア、話し合いもいいが〝アルカディア〟はどうなってる?」
「今空間鳩で返信待ちです」
「待って、そっちから話すなら私が今すぐ〝通信石〟で〝アルカディア〟に問い合わせるわ」
ポケットから通信石を出し、プププ……と、チェリッシュは通信石で通話を試みる。
プルル……プルル……プルル……プルル……プルル……
と、長めの5コール目で相手と繋がった。
『私だ』
「ごきげんよう。ジークパング王。今そちらはどういった状態ですか? 〝八柱の大結界〟が壊されたみたいですが?」
『やはりその事か、結論から言おうかの〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟は先ほど破壊された。じゃが、魔王も魔族も魔王信仰の襲撃もなかったし、今の所、その様子もない』
「援軍は必要ないと見て大丈夫ですか? それに、なぜこんな事態に?」
『心配をかけるのう。うむ、援軍は必要ない。じゃが、ことの真相はまだ発言できぬのじゃ。すまぬ、私から話せるのは現段階でここまでじゃ』
「十分です。それでは失礼します。ジークパング王」
それを最後にチェリッシュは通信石を切った。
「一先ず〝アルカディア〟の一件は静観と言うことで大丈夫そうだわ」
「通信石便利ね。ウチの国にも早く欲しいわ」
「大聖女様が近々手配してくれると思うわ。これは先日の〝アルカディアの会合〟で貰ったのだけれども〝ユグドラシル〟は不参加だったじゃない」
「お誘いは来てたのだけど気分が乗らなくてね」
気分が乗らないで〝アルカディアの会合〟を断ったのか? 結構重要な会議だと思うぞ? 知らんけど。
「〝アルカディア〟には戦力は今誰がいる?」
不意に俺が問いかけるとチェリッシュが返事を返す。
「王国魔導士団のことかしら?
〝独軍〟シラセ・アヤセ
〝十尾〟ヴァジラ・フォーコーン
が、今いる筈よ?」
「ヴァジラって奴は知らないが、シラセか……」
「どうしたの?」
「いや、何でもない。恐らくは杞憂だ。さて、そろそろ話そうか? この俺についての話しを」
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