第813話 ユグドラシル14
「なるほどな」
正体を隠して国を守る秘密部隊。
こういった形もあるのか。
「なら、見破っちゃった俺は悪いな」
「ユキマサさん相手に強さを隠せる者はいないと思いますよ?」
「誉め言葉と受け取っておこう」
「はい、誉めたつもりですので」
シルヴィアはクスクスと笑う。
エルフの美人顔で。
(ッ!? 何だ!?)
「どうなさいました?」
「いや、何でもない。何か嫌な気配がしたが、思い過ごし……みたいだ」
「ユキマサ君、私も何か嫌な気配がしたよ」
クイクイと可愛らしく俺の袖を引っ張るクレハが言う。
クレハまで気配を感じたと成れば何かあったな。俺が感じた気配は〝ユグドラシル〟の外。
すると、何処からともなく忍びのようなシルヴィアの部下が現れる。
「報告します。たった今〝八柱の大結界〟が破壊されました!!」
「何ですって!? どういうことなの!?」
「確か最後の〝魔術柱〟は〝アルカディア〟にあるんだよな? てことは、事実上〝アルカディア〟が陥落したってことじゃないのか?」
あいつらがミスミス〝魔術柱〟を手違いで壊しちまう何て考えにくい。
「分かりません。早急に事実を確認しないと」
*
〝ユグドラシル〟ソフィアの家近隣
そこにはシルヴィアの時と同じく忍びのような人物が現れていた。
「〝スマイル御一行様〟報告します。先ほど〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟が全て破壊されました」
「「「ッ!?」」」
「バカな〝アルカディア〟が陥落したということですか?」
一番最初に口を開いたのはソフィアだ。チェリッシュとガリレオンはまだ驚いて固まっている。
「チェリッシュ、どうする?」
「まずは稗月倖真よ。確かに〝アルカディア〟の事も心配だけど今から行ったんじゃとても間に合わないわ。それにもし彼が善人ならば協力を仰げるかもしれない」
「そうですね。まずは稗月倖真を探しましょう」
頷く三人は目的を決めたようだ。
「ソフィア、稗月さんなら、シルヴィ王女殿下と一緒にラムネの湧く泉に向かったらしいわよ」
「シルヴィと? お母様ありがとうございます。泉に向かってみます」
ソフィアが顔をしかめる。
シルヴィアとは旧知の仲だ。
それにシルヴィアの人を見る目が確かなのをソフィアは知っていた。益々もって噂が怪しい。
「呑気だねー。指名手配犯がお姫様付きでラムネの湧く泉にお出掛けなんてさ。本当にそれ稗月倖真?」
「行ってみれば分かるわ。ソフィのお母様、ごはんご馳走さまでした」
「ご馳走さまー!!」
「お母様ご馳走さまでした。また近々帰ります」
「えぇ、いつでも帰って来なさい。チェリッシュちゃんもガリレオンちゃんもね。待ってるから」
それから三人は軽くソフィアの母にハグをして別れた。
「さぁ、待ってなさい! 稗月倖真!!」
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