第810話 ユグドラシル11
*
シルヴィアの言う通り、本当に10分程でその場所に着いた。
「これ全部ラムネなのか!?」
地面から温泉のように噴き出す液体を見て俺は驚いた顔をする。
「はい。そうですよ。甘くて凄く美味しいんです」
そう言ってシルヴィアは毒味をするかのように最初に手酌でラムネを救って口に運ぶ。
「じゃあ、俺たちもいただくか」
「うん! わ、冷たくてキンキンだ」
「シュワシュワです。あ、美味しい!」
クレハも桜も手酌でラムネを口に運ぶ。
「美味いな! 何だこれ!?」
「元は〝逆さ世界樹の水〟から出来ているので、ラムネも水質は一級品なんですよ」
ふふふと、シルヴィアは微笑む。
「少し汲んで行ってもいいか?」
「どうぞ、どうぞ、お好きなだけ汲んで行って下さい」
「じゃあ、遠慮なく。黒芒も飲むかな? ラムネ割りとかにしそうだが」
と、言いながら、空になっていたリリリの作ってくれた樽にラムネを汲む。
リリリの水も美味かったな。ベクトル違いで良い所がそれぞれある。
リリリも元気かなー。
*
〝ユグドラシル〟門前
「ふぅ、やっと着いたわね」
「チェリッシュ、僕お腹空いた」
黒髪ツーサイドアップの14歳ぐらいの見た目の少女が、明るい茶髪ロングの20歳ぐらいの女性、チェリッシュ・アーガイザーに話しかける。
「ガリー、食事は後。まずはソフィの実家を訪ねましょ」
ガリーと呼ばれた、このツーサイドアップの少女は、ガリレオン・ワイラバーナ。見た目に反し300歳を超える、れっきとした吸血鬼だ。
「実家に帰るのも数年ぶりですね」
ウェーブがかった長い金髪のエルフの女性が口を開く。彼女の名は、ソフィア・トリバネリラ。見た目は20代だが100歳を超える。
「ソフィアの家でごはん貰える?」
「ええ、お母様に頼んでみましょう」
そう言いながら門を潜ろうとすると、門番に三人は止められる。
「お止まりくださ……、そ、ソフィア様!?」
門番は驚愕と言った顔をする。
「世界最強の冒険者パーティー〝スマイル〟の方々も……」
「こちらの二人は私の仲間です。顔パスで通していただけますね?」
「はい! 勿論です!」
シュッと、背筋を伸ばし門を開く門番。
「冒険者パーティー〝スマイル〟御一行入国です!」
入国する〝スマイル〟の面々には余裕がある。
「うわ、綺麗な所だね。僕〝ユグドラシル〟初めて来たよ!」
「ガリー、あんまりはしゃがないの。この国にはジェストもいるんだし問題起こさないでよ?」
「分かってるって」
「それに私たちの本当の目的は稗月倖真の生け捕りよ。予想だとこの国に寄ると思うのだけど」
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