第809話 ユグドラシル10
*
米屋の前に肉屋によった。
エルフの国には似合わないな肉屋。
いや、寄るけど!
「牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、へぇ、鹿肉にラクダ肉何てのもあるのか?」
「はい。種類も豊富ですよ。牛だけでも、縞牛、虹牛、花牛、飛牛等、色々ありますからね」
「一通り買っていくか、店主全部10kgずつ頼むぜ」
「ユキマサ君、ここは私が払うね」
「気持ちだけで十分だ。生活資金から出す」
いやいや、払う。気にすんな。の数回のやり取りの後、クレハが折れ「ありがとう。ご馳走さまです」と、最後に言って来た。
「噂には聞いてましたが、実物を見ると更に驚きですね〝アイテムストレージ(大)〟は」
10kgの塊の肉をポンポンと収納する俺にシルヴィアが感嘆の声をあげる。
「まだまだ入るぜ? 便利だよなこのスキル」
「ユキマサ君はチートだよ。ホント」
「アルテナにも言われたなぁ」
元気かなアルテナ。意外とこの様子をこっそり見てたりしてな。ごめん俺賞金首になったよ!
「桜も何か食べたいものはあるか?」
「わ、私ですか? 私は王宮で食べたバケットがまた食べたいです」
「バケットか、じゃあパン屋だな」
「ユキマサさん、あのバケットはウチのコックの特製なのでパン屋にはありませんよ? よろしければ、作るように手配しますが?」
「そうなのか。悪い、頼めると助かる」
「お任せください」
するとシルヴィアが軽く手をあげると、どこからともなく忍びのようなエルフが現れる。
シルヴィアが「バケットをたくさん用意しなさい」と、伝言を伝えると「御意」と、返事をし忍びエルフは空に消えた。
ていうか、護衛は断ってたのにこれはいいのか? まあ、連絡要員だからいいのか。
*
エルフの街は豊かだった。大通りは賑わいを見せ、少し入った路地裏ですら小綺麗かつ浮浪者の姿も見受けられない。
この国では物々交換の文化が深く根付き、驚くことに店の売上が良い店があると、売上が芳しく無い店に金銭を分け与える風習まであるらしい。
「良い街だな」
ボソッと、俺は思ったことを口に出す。
「ありがとうございます」
シルヴィアはまるで自分が誉められたかのように嬉しそうだ。実際、シルヴィアの国だしな。
その後も街ぶらをしながら歩いてると不意にシルヴィアが口を開いた。
「そうです皆さん、ラムネを飲みに行きませんか?」
「ラムネ?」
ラムネかぁ。駄菓子屋とかかな?
「少し先の森にラムネの湧く泉があるんです。これもこの都市の名物なんですよ」
「ラムネが湧いてるのか!? いいねぇ、是非行こう! クレハも桜もいいよな?」
「うん! 私も賛成」
「私もです」
「では、こちらへ。10分程度で着きますよ」
笑顔のシルヴィアに導かれ俺たちはラムネの湧く泉を目指すのだった。
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