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第80話 ミリア・ハイルデートはミリアである



 ──ミリア・ハイルデートはミリアである。


 さて……それは一体、何時(いつ)、どこで、誰が、何の()()があって決めたのだろうか──?


 それはミリアがこの世に生まれて来る少し前から、その名前は、他でもないミリアの二人の両親によって決められ〝父親と母親権限〟という、自分達の愛娘(まなむすめ)への名付けという行為に(いた)っては、これ以上に無い()()()()()()から決められた事なのである。


 そんなミリアの友達、親友──いや、最早、()()()()()とさえ、胸を張って言える人達とミリアが出会った今から少し昔の話をしよう。



 ──今から約12年前に私はこの湖で生まれた。


 そんな話を聞かされて、理解し始めたのは、私が物心と言うものがついた4歳ぐらいの(とし)の頃だった筈だ。


 お父さんは〝冒険者〟で、お母さんは(うち)の湖や森で捕れた、水産物や薬草を街に売って生活していた。



 ──約8年前。

   ミリア湖・ハイルデート家 自宅──


「ただいま!」


 いつものように、お母さんと、湖で捕れた魚や森で捕れた山菜──それと街で買ってきた、野菜や調味料を使って、晩御飯を作っていると、仕事を終えたお父さんが帰ってくる。


「お父さん、お帰りなさい! ごはんにする!」


 ミリアは帰ってきた父親の(もと)に、嬉しそうにタッタッタッタと、早足でかけ寄って行く。


 ミリアの辞書には〝ごはんにする? シャワーにする? それとも……〟みたいなお約束的な言葉は無い。


 父親が仕事から帰ったら皆でごはんの一択(いったく)なのだ!


 これがハイルデート家の日常であり、ミリアにとって、生まれてこの(かた)それがいつもの光景なのである。


「そうだな。お父さんもお腹ペコペコだよ」


 駆け寄って来るミリアを両手で抱き止め、そのまま『高い高ーい』とばかりに、ミリアの父親は、ミリアを自身の頭の上ぐらいの高さまでげ抱えあげる。


「ふふ。トア、お帰りなさい。どこか怪我は無い?」


 そんな様子を微笑ましく眺めながら、帰宅した夫の怪我の有無を確かめているのは、ミリアの母親である──ミトリ・ハイルデートである。


 ミリアと同じ綺麗な水色の長い髪で、おっとりとした話し方の、肌の白い綺麗な30代ぐらいの女性だ。


 そしてトアと呼ばれた、ミリアに『高い高ーい』をしている、優しげな雰囲気の白茶色の髪の男性こそがミリアの父親──トア・ハイルデートだ。


「ああ、ただいま。私は大丈夫だよ。今回はジャイロウルフの()れの討伐依頼だったけど……〝大都市エルクステン〟のギルドの第2騎士隊の人達も来てくれてね。大人数のパーティーで挑めたから、仲間たちの被害も軽度の負傷者が数名出ただけで済んだよ──それに私の事よりも……ミトリ、君の体調の方が心配だ。具合は大丈夫なのかい?」


 ミリアの母親──ミトリ・ハイルデートは生まれつき、病を(わずら)っていた。

 急に(せき)が止まらなくなったり、酷い時には()()()以上の高熱を出して寝込む事や、何の脈絡も無くパタリと倒れて数日間意識を失う事もある。


 昔は年に一度や年に数回程度だった、その()()も……最近では月に一度は、その何らかの発作が見られるようになってきてしまっている。


「大丈夫、このくらいヘッチャラよ! ほら、ごはんにしましょ? 今日はミリアがいっぱいお手伝いをしてくれたのよ!」


「……お母さんの病気はいつ治るの?」


 トアに抱えられたミリアが心配そうに問いかける。

 

「大丈夫。お母さんの病気はすぐ良くなるよ」


 自分の娘にこんなに心配そうな顔をさせたくないと思ったトアは、包み込むような優しい声と笑顔で、今ミリアに伝えられる精一杯の言葉を伝える。


 ──だが、ミトリの病気は回復の目処は無い。


 むしろ、治る所か〝聖教会〟や〝治療院〟では『よくこんな発作を起こして生きていられている』と素で驚かれたぐらいだ。


 そして、その理由はミトリの魔力の()()にある。


 もしもこの病気が無く、()()()()()()で、ミトリ程の魔力量や魔法技能があれば〝大都市エルクステン〟のギルドの騎士隊長達や──下手をすれば〝中央連合王国アルカディア〟の()()()()()()とも、渡り合えるかも知れない程の魔力量と魔法の才能を秘めていた。


「──ほんと!」


 娘の嬉しそうな純粋な声と視線が胸に刺さる。


「本当だよ。さあ、ごはんにしよう!」

「うん、皆でごはん!」


 ──ミトリ(お母さん)の病気はすぐ良くなるよ。


 実はこれはあながち嘘という訳では無い。


 〝聖教会〟も〝診療所〟も、お手上げのミトリの病気だが、ミトリの病気をすぐ直す()()()方法が一つだけある。


 ……正し、その()()が極めて難しいのだ。


 ──〝天聖(てんせい)の遺産〟──

 この世界に3種存在すると伝えられている。今から約1000年前の人類の英雄にして、()()()()()()(うた)われる人物──その天聖(てんせい)がこの世界に残したと言われる、3種類の〝魔道具(マジックアイテム)〟それが〝天聖の遺産〟だ。


 その1つに〝生命の秘薬〟と呼ばれる物がある。──それはどんな(やまい)だろうが、怪我だろうが、何だろうが、死んでさえいなけば、()()治すことができるという特別な〝魔道具(マジックアイテム)〟だ。


 もしそれを手に入れる事ができれば、()()()()()()()()()()()()()事だろう。だが、目下の最大級の問題は、その〝生命の秘薬〟が、今から52年程前に封印が解かれてしまった、人類最大の敵である4人の魔王の1人〝魔王ユガリガ〟の手にあると言う事だ──。




 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


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 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


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