第802話 ユグドラシル3
*
王宮へと案内されていく途中、都市の中を俺は見渡す。
まず第一に目に入ったのは、
「何だあれ!? 空から大樹が生えてるぞ!?」
洞窟の高い天井から推定300mはある大樹が川に水を流しながら、聳え立っていた。
「あれは〝逆さ世界樹〟ですよ〝シルフディート〟にも対になる〝世界樹〟があったでしょう」
「あー、うん。あったな」
ウルスラとの戦いで折っちまったからなぁ。
反省、反省。後悔はしてない。
「ふふふ、それも誰か様が、へし折ってくれたんですよね。火澄には気の毒だけど」
「火澄か、少し話したな」
「元気だった? 火澄は元々こっちの国生まれなのよ」
「元気っちゃ元気だったが、俺が〝世界樹〟折っちまったから慌てた顔してたぞ」
でしょうね。と、シルヴィアは笑った。
「お、田んぼもあるのか?」
「エルフ米の発祥は〝ユグドラシル〟よ。後でコヌフラッチョスを、ご馳走しましょうか?」
「おお! 是非頼むぜ!」
コヌフラッチョスとは米と卵と漬物のセット料理だ。フォルタニアと食べたが絶品だった。
それがエルフ米の発祥の地で食べられるんだ、期待せざるを得ない。
「後、そうだ。仲間が国の入り口近くにいるんだが、一緒に王宮に招いてもらえないか?」
「いいわよ。黒芒さんにクレハさん、後は桜さんだっけ?」
「よく調べてるな」
「ふふ、あの〝千妖〟がお仲間さんだってのには半信半疑だったけどね。うん、お仲間さんもどうぞご遠慮無く。使いの者を出すね。ユキマサさんが呼んでるって言えばいいかな?」
「異世界から来たユキマサが呼んでるって言えば尚良いかな」
「? 異世界?」
可愛く頭に〝?〟を浮かべるシルヴィア。
「まあいいや、そう伝えるね」
「ああ、頼むよ」
今のところこのエルフの国は悪くないかな。
〝シルフディート〟では散々だったからな。
*
樹木に囲まれた、何ともエルフチックな広い王宮に着くと、既にクレハたちの姿があった。
「あ、ユキマサ君!」
「ユキマサさん、良かった無事で」
律儀に王宮の入り口で、待ってくれてるクレハたちは俺を見るなり嬉しそうに声をあげる。
「主様、遅いぞ」
クレハと桜を守るような位置にいる黒芒が眠たげに話しかけて来る。
ちゃんと守ってくれてたんだな。
「悪いな。ちょっと野暮用でな……」
まさか覗きをしてた何て言えないので俺は少し口を濁す。
すると、パン、パン! と、シルヴィアが手を叩きながら口を開く。
「はい、はーい! 再会は良しとして、改めまして、ようこそ〝ユグドラシル〟へ、私たち〝ユグドラシル〟は稗月倖真さん一行を歓迎するよ!」
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