第801話 ユグドラシル2
*
川から上がった俺は服に染み込んだ水を搾る。
あー、服痛んじまうな。1着しかないアルテナに貰った一張羅だっていうのに。
ん? 待てよ、黒芒に頼めばボロボロになっても、直して貰えるんじゃないか? ほらあの〝形状記憶能力〟とか言うやつで! 今度出来るか聞いてみよう。
にしても凄いな。本当に洞窟なのかここ。
まずあのミニ太陽、クレハ曰く洞窟内の灯りは魔法によるものらしいがあの太陽自体が魔法なのか? とにかくあのミニ太陽により洞窟内は外と変わらない。
川から上がり、クレハたちと合流するべく道無き道を進む。
するとバタバタバタとこちらに向かう複数の足音がする。
「こっちだ!」
「女川に男が出たって!?」
「一体どこから入ったんだ!」
やべ、こっち来るぞ!
それに女川? 女湯みたいなモンか?
「いた! スイセン服の男!」
取り敢えずここは穏便に。
「待ってくれ、覗くつもりは無かったんだ」
両手を上げて俺は誤解を説く。
「しらばっくれても無駄よ!」
「そうよ女の敵!」
「覗き魔、変態、スケベ!」
俺の反省はものともせず、三人の女エルフたちが俺を罵る。こればかりは俺が悪い。
「待ちなさい」
するとさっきの銀髪ロングの美人エルフが服を着て現れた。
「シルヴィア様!」
「この男です!」
「今すぐ引っ捕らえますか!」
俺を指差す三人を他所にシルヴィアと呼ばれた銀髪エルフが、俺に向き直り口を開いた。
「黒髪に黒眼、それにスイセン服。もしかしてあなた稗月倖真?」
ヤバい、バレた、賞金首、金貨一万枚。
よし、ズラかるぞ! と、俺がその場を立ち去ろうとすると、
「待って! 私、あなたと話がしたいの!」
「話し?」
「〝シルフディート〟の件、聞かせて!」
シルヴィアは嬉々とした様子で俺に話しかけて来る。
「話は王宮で、ね♪」
*
シルヴィアの案内で王宮へと招かれる俺は取り敢えず、覗きの件は保留して貰えそうだ。
「あー、シルヴィアだったか? さっきは本当に悪かった。このとーりだ。すまん!」
「本当ですよ。異性に肌を見せたことなんて私の200年の人生で初めてなんですよ?」
「いや、本当にすまん。謝っても謝りきれねぇよ」
「お詫びに〝シルフディート〟の英雄談を聞かせてくれるなら、まあ、許してあげないことも
無いですよ?」
「英雄談何てモンじゃ無いけどな。お陰でお尋ね者なワケだし」
「いいえ、あのお馬鹿さん共をギャフンと言わせたのですから、この国では勲章物ですよ」
そーいや〝シルフディート〟と〝ユグドラシル〟は、同じエルフの国でも犬猿の仲だとか聞いたな。
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