第798話 再出立
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熊のぬいぐるみを抱いたパジャマ姿の寝起きのアリスと桜が部屋の外に出てくる。
「おはようなのです。ユキマサ」
「おはようございます。ユキマサさん」
まだ眠いのかアリスは目をごしごししている。
「ああ、おはよう。アリス、桜。挨拶もそこそこに着替えてきな。時期に朝食だ」
はい。とサクラは返事をし再び部屋の中へ、アリスはこことは違う自室へ向かった。
俺とクレハは先に大広間へ朝食に向かう。
黒芒にも一応「朝食はどうする?」と、影に声をかけたが「いらぬ、妾は寝る」との返事が返ってきた。
大広間には既にメイドや執事がせっせと働いており、ジャンが指揮を取っている。
「ユキマサ殿、クレハ殿、おはようございます。直ぐに朝食をお持ちいたします」
お手本のようなお辞儀をしながら、ジャンは俺たちをテーブルに案内する。
「気長に待つよ。後アリスは自分の部屋に着替えに向かったぞ」
「存じ上げております。既にメイドがお手伝いに向かっております。直ぐに来るかと思われます」
その後、クレハやジャンと駄弁っているといつものゴスロリ服のアリスが元気にやってきた。
「お待たせなのです」
アリスを待っていたかのように、アリスがテーブルに着くと沢山の料理が運ばれてきた。
ちなみにこの国では王族が残した料理をメイドや執事たちが食べても良い、食べ物を無駄にしない素敵な風習があるのでかなりの量が運ばれてくる。
〝食を共にする〟と言うことで心も身体も結ばれるというものらしい。
サクラもフィップも合流し、食事を取る。
てか、フィップは完全に二日酔いだろ!
パンやサラダや白米やスープを取り分け、各自スクランブルエッグや目玉焼き、ウインナー、ベーコン等をつまむ。
飯を食い終わると俺たちは出立の準備をする。
「もう行ってしまうのですか?」
「ああ、飯ご馳走さま。俺たちは〝ユグドラシル〟へ向かうよ」
「そうですか。お世話になったのです。後シルヴィによろしくなのです」
「シルヴィ? 誰だそれ?」
「行けば嫌でも分かるのです」
俺たちが今日出立すると聞いてアリスは目に見えてションボリしていた。ちょっと嬉しいね。
「おい、黒芒! 出立だ。挨拶ぐらい出てこい」
黒芒に影から呼び掛けると眠たげな声が返ってくる。
「もう行くのかえ? 主様はせっかちよのう」
「お前が呑気なんだよ。幾世霜の〝幻霊種〟こちとらお前たちほど寿命はそんな長くないんだ」
「ふむ、その事なんじゃが、フィップとも話したが主様の寿命はどれぐらいなんじゃかのう」
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