第794話 稗月ノ眠リ唄14
*
俺たちはまずズラリと並んだ笹の葉を見ていた。
「親父、願い事は書かないのか?」
「あせっちゃイケねぇよ。それに一番良い所に飾りたいじゃねぇか。その方が叶いそうだしよ。じっくり飾る場所は探そうぜ!」
そしていつの間にか買っていたフランクフルトを食いながら「あ、これマスタード効いてるな」と鼻をつまみつつ親父は言った。
「おとーさん、金魚!!」
理沙は金魚すくいの屋台を見つけるとキラキラした目でタッタカターと、走り去っていく。
「へぇ、金魚すくいか。理沙、ユキマサ、やってみるか?」
「やる! でも、やり方分からない……」
「俺はやるぞ!」
「こんなの簡単だ。よし手本を見せてやる。おやっさん、ポイをひとつくれ」
代金300円を払い親父はポイを受けとるとスッと目を細めた。
「おいおいおやっさん、これはねぇんじゃねぇか? 単刀直入に言うぜ5号ポイをくれ」
親父の言葉を聞いた屋台のおっさんは「ほう……」と、感心した顔になり。
「申し訳ない。こちらが5号ポイです」
「おとーさん5号とかってなあに?」
「ポイの厚さと強度のことだ。4~7があって4が一番強く7が一番弱い。この店は5号~7号しか扱ってないみたいだから5号を頼んだんだ。ちなみに最初に渡されたのは7号だ。俺の目は誤魔化せんぞ」
と、どや顔の親父は理沙に「おとーさん、凄い、凄い!」って、もてはやされすっかり上機嫌だ。
「よし理沙こっち来い来い。まずは水面上に浮いている金魚を探すんだ。焦っちゃイケないぜ。次はゆっくりポイを水に浸けるんだ。ちなみに水にポイをいれたら深追いはNGだ。後は出来る限り水を払いながら金魚を持ち上げて器に移すだけだ」
といいながら親父は綺麗に一匹金魚をすくってみせる。
「やってみるか?」
「うん!」
「ユキマサ、お前もやれ。おやっさんポイ二つ追加で頼むぜ!」
600円を払い俺と理沙はポイを受けとる。
理沙を見ると真剣に金魚すくいに没頭している。親父は優しく「ほら、そこだ!」とかアドバイスをしている。
緊張した赴きで理沙はポイを沈める。
「よし! ゆっくりあげろ!」
「やった! 取れたよ、おとーさん!」
「上手いぞ理沙よくやったな!」
自分のことのように喜ぶ親父。
「て、ユキマサ、凄!?」
「ん? ああ、金魚すくいは得意なんだ」
理沙が一匹すくう間に俺は12匹の金魚をすくっていた。中には黒出目金等のレア金魚もいる。
よし、少し本気を出すか。
そう決めた俺は水槽を泳ぐ金魚に目を向けた。
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