第793話 稗月ノ眠リ唄13
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「七夕祭りに行こう!」
七月の七日の日に親父はそう言った。
「七夕知ってる! お願い事をする日でしょ!」
目をキラキラ輝かせて理沙が続く。
どうやら理沙の中では織姫と彦星より、お願い事をする日という認識らしい。
「まあ、それも正解だが、七夕は織姫と彦星が一年で一度だけ会える素敵な日なんだ」
こういった話が大好きな親父はその後もひしひしと七夕の由来から何から得意気に1時間ほど話した。
*
「あ、出掛ける前にテレビドラマ録画してっていい?」
「いいぞいいぞ」
親父から許可をもらいテレビの録画を理沙がする。ちなみに撮っているのは〝食べ盛りの君たちへ~つけ麺パラダイス〟という謎ドラマだ。
あれ観るとつけ麺食いたくたるんだよな。
理沙がドラマの録画をし、各自準備を済ませた後、自家用車に乗り込み七夕祭りへ向かう。
笹の葉がズラリと並ぶ祭り会場には既に人だかりができていた。
車を停めるのに40分もかかったよ。
「やっと着いたな」
車から降りると俺は伸びをしながら呟く。
するとふと背後からキリッとした女性の声が投げ掛けられた。
「何だ、ユキマサたちじゃないか。相変わらず祭り事には目がないな」
「牧野?」
うーむ、祭り事に目がない。否定できないな。町内会のイベントまで参加してるし。
てか、祭りばかりだな。
「おーう! 牧野じゃねぇか、栗モナカいるか?」
「いる」
即答の牧野。今日は出店でもないのに栗モナカを携帯してた親父がはいよと渡す。
栗モナカ代150円を渡そうとする牧野を「今日は俺の奢りだ」と、親父は優しくその手を止める。
「つーか、牧野。祭り事にはお前も基本いるな」
「この地域の祭りは殆どウチの会社がスポンサーだからな。社長の私がいても不思議じゃないだろう」
「え、マジか」
そーいや、町内会のイベントも牧野がスポンサーだったな。流石は牧野グループ、俺たちに出来ないことを平然とやってのけるぜ。
町内会の出し物の商品もハワイ旅行とかだったしなぁ。三位はカレーだったけど。
「まあ、楽しんでいけ。酒もあるぞ!」
あー、親父と爺ちゃんは飛び付くだろうな。
「今日は俺は酒はやめとくよ」
え!? 親父飲まないの?
どっか具合悪いのか!
「おい、ユキマサなぜ無言で俺の額に手を当てる」
「親父が酒を飲まないなんてどっか悪いのかと思ってな。あれ? どこも悪くないな」
「おい、俺だって休肝日ぐらい作るぞ」
「それは悪かったな」
その代わり食うぞーー!!
と、高らかに親父は宣言した。
こりゃ相当食うな……ま、俺も付き合うか。
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