第791話 稗月ノ眠リ唄11
*
町内会のイベントの翌日。
「う~。頭が痛い。頭が悪いのかな」
「二日酔いでしょ。あなた、昨日は流石にのみすぎよ」
母さんに聞いた話しだと、25度の一升瓶3本だけじゃなく、ウィスキーの瓶も2本空けてたらしい。
「ユキマサ、二日酔い治してくれ……」
「直さなくていいわよ。少し反省なさい。さ、朝ごはんよ。戻したり残したりしたら許しませんからね」
「うぅ……俺の飯は少なめで頼むぜ……」
まあ、自業自得だわな。
1、2時間は我慢してもらおう。
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「おとーさん、大丈夫?」
「おう……何とかな……」
二日酔いの親父を優しく心配する理沙。
「何じゃ木枯、二日酔いか?」
「飲みすぎたぜ……」
爺ちゃんにも心配された親父は何とか朝食を胃袋に納めた。
*
二日酔いでも何とか仕事をこなした親父は客が減った夕方、俺を誘いだした。
「ユキマサ、限界だ。ファミレスでパフェ奢るから二日酔い治してくれ……」
「パフェかよ。まあ、頃合いか。母さんには黙っててやるよ」
親父の額に手を当て俺は治癒能力を使う。
「ん、ん!! おお、良くなった!」
目に見えて体調が良くなった親父は元気満点。
約束のパフェを奢ってもらうべく、ファミレスにこっそりと向かう。
ファミレスに着くとやけに学生が多い。
まあ、学校帰りにはピッタリだよな。
「チョコレートパフェ二つ」
親父は淡々と注文をした。
注文を終えると、二つ隣の席の女子高生から話し声が聞こえる。
「どれにしよっか?」
「三人で予算は2000円だもんね」
「一人一品でギリギリだよ」
「後、ドリンクバーも欲しいし」
「でも、サラダ。サラダが食べたい。健康にもダイエットにもいいし。でも、700円か……」
するとそこに店員が現れる。
「お待たせしました。シーザーサラダ二つになります」
「え? 頼んでませんけど……」
女子高生たちから戸惑いの声があがる。
「あちらのお客様からです」
ぶっ! ファミレスで何やってんだ!
どこのどいつだよ?
……あれ? 皆の視線が俺たちのテーブルに集まってって……お、親父ッーー!!
「サラダが食べたいって聞こえたんでな。払いは俺が持つ、シェアしてパーっと食べていきな! 勉強がんばれよ、学生諸君!」
女子高生から「「「あ、ありがとうございます!」」」と、歓声が上がる。
店内は一躍親父への拍手喝采で包まれる。
本当に何やってんの親父?
遅れてやって来た俺たちのチョコレートパフェのアイスがダブルになっていたが、そっと店員が「私共からです!」と、茶目っ気に言ってきたのが、まだまだ世界も捨てたもんじゃないなって俺はそう思いながらパフェをスプーンで掬った。
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