第790話 稗月ノ眠リ唄10
*
キャンプファイヤーは大いに盛り上がった。
オクラホマミキサー何かも流れ始めたよ。
盆踊りみたいに他人同士が仲良く踊る。
中には外国人観光客もいて写真を撮っている。
ちなみに親父たちは誰も踊らなかった。理沙は踊りたそうだったが踊り方を知らないらしい。
代わりにいつも通りというか、とにかく飲んで食べていた。ヤギのおっさんと肩まで組んでるよ。
「いけいけーー!! 乾杯!」
「木枯飲みすぎじゃないか!?」
「馬鹿言え、こんな時ぐらいしかハメ外して飲めねぇだろ? な、吹雪?」
「まあ、祭り日ぐらいはいいですよ。でも、泥酔して立てなくなっても置いてきますからね」
今日は母さんは飲まないらしく、理沙と一緒にポテトを摘まんで食べていた。
「ユキマサ、その酒注いでくれ」
「ん? 珍しいな爺ちゃんが俺に酌を頼むってよ」
「魅王に頼んでもいいが、たまには孫の酌も乙なもんじゃ」
「まあ、婆ちゃん親父の所に何故かいるしな。酒も飲まないのに」
〝タコ野郎〟と書かれた謎の酒を爺ちゃんに注ぐ。
「すまんの。ユキマサ」
「そこはありがとうでいいんだよ」
「ん、ありがとう。ユキマサ」
爺ちゃんは笑った。
絵に描いたようなイケメンフェイスで。
っと、手持ちの金がきれたな。
まだ買ってない物もあるし親父にねだるか。
そう思い、親父たちの方へ行くと親父、ヤギのおっさん、婆ちゃんの会話が聞こえてくる。
「そーいや、ヤギ。お前パーマかけたのか?」
「お、やっと気づいたか? 似合うだろ」
「ヤギさん人工パーマなのね」
平和な会話だなぁ。
「親父、金が尽きた。まだ食い物買ってくるからいくらか出してくれ」
「おう、あ、とん汁おかわり買ってきてくれ」
そう言われながら5000円札を受けとる。
俺はその5000円でおかわりのとん汁や唐揚げに焼き鳥とかを追加で買った。
町内会のイベントとしては珍しく夜遅くまで続いたイベントは、キャンプファイヤーの終幕と共に幕を閉じた。
「あなたー。あなたー」
「ん、吹雪か……もう飲めない」
ベロベロになり一升瓶を抱いて横になる親父に呆れ半分で母さんが声をかけた。
「……ヤギ……」
「ヤギさんならさっき帰ったでしょ? あなたタクシー代まで渡して、忘れたの?」
「そうだったな……眠い……」
「おとーさん大丈夫?」
「理沙ちゃん放っておきなさい。飲みすぎ何だから」
どんだけ飲んだんだ? 親父。
見た感じ25度の一升瓶3本は空けてるぞ!?
「そうはいかない。早く退かしてくれ」
「あら、牧野さん」
「吹雪すまない。会場の片付けがあるからここで木枯を放っとかれると邪魔なんだ。連れて帰ってくれ」
「すいません。家の旦那が……ごめんなさい、ユキマサ、この人を運んでもらえるかしら?」
「はいよ、分かった」
身長180を超える親父を担ぐ小学生こと俺は、母さんに言われるがまま親父を家まで運ぶのだった。
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