第789話 稗月ノ眠リ唄9
「親父、キャンプファイヤー? そんなのチラシにあったか?」
「いやさっき牧野に用意させた。何か盛り上がる案はないかって聞かれたんでな」
「あー、あいつならやりかねん。て、うわ。もうステージ解体して、キャンプファイヤーの準備してるし。あいつ、行動力あるんだよなー」
牧野グループの社員たちがせっせとステージのセットを片付け、どこからかキャンプファイヤー用の木を運んできたトラックが会場に入ってくる。
「おい、ユキマサ。木を下ろすの手伝ってやれ」
「あー、了解。重いもんな」
というワケで片手で木を持ち上げていると、ドッ! っと、歓声があがる。
あれ? 俺何かしました? ん、ああ、木か。
片手で大木持ち上げる小学生とか普通ならホラーだからな。反省、反省……「キミ、何でイベントでなかったの? ハワイ行けたよ?」とか牧野グループの社員に言われたよ。
公園の真ん中に結構大きな組み木を立て、全員を代表し社長の牧野が火を点ける。
さあ、祭りだ! 町内会のイベントと侮るなかれ。主催はあの牧野グループ世界に通用する会社だ。
樽酒や生ビールの祝い酒も振る舞われた。アルコールの出展者の営業妨害になるんじゃないか? と、思ったが、缶ビールも生ビールもどこも完売だったよ。
それを見越して酒樽と生ビールを急遽用意したな。流石は牧野、できる女だぜ。
「ユキマサこれで皆分何か適当に買って来てくれる? ヤギさんの分もね」
母さんに万札を渡され俺はキッチンカーや飲食物の出るテントに向かう。
俺は何にしようかなと、お祭り気分で見て回る。
まずは焼きそばだ。シェアして色んな物が食べれたら良いと考え、焼きそばは3つだけ買った。
その後もケバブやたこ焼きにイカ焼きを3つずつ、とん汁は人数分買った。
それらを買って戻ると、理沙が「ユキマサ、持ちづらいでしょ」と、片手のトレーにとん汁7つを持つ俺に小走りで駆け寄り手伝ってくれた。
「悪いな助かる」
「家族ですから」
「ハハハ、何だそれ。否定はしないけどよ」
「たこ焼きだ! お婆ちゃんとおかーさんと食べる」
とん汁とたこ焼きを持ち、理沙はイベント会場のテーブル席に戻る。てか、よくテーブル席取れたな。地べたに座る奴がいるくらい混んでるのに。
「お、とん汁いいねぇ。飲んでると塩味の効いたスープ系がほしくなるからねぇ。木枯、本当に奢って貰っていいのか?」
「花見の桜の礼だ。気にしないで食ってくれ」
「それじゃ、遠慮無く。ごちになる」
そう言って二人はビールで乾杯した。
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