第787話 稗月ノ眠リ唄7
*
その後も饅頭、栗モナカ、どらやきは飛ぶように売れた。
「おかーさん、どらやき生クリームもう無いよ!」
「あら、じゃあ、売り切れにしといてもらえる?」
「うん、あ、栗モナカも後10個で売り切れだよ」
「おい、マジか! 280個はあった筈だぞ!?」
「嘘じゃないよ。ユキマサも見てみてよ!」
そんな話をしてる間も饅頭たちは売れていく。
およそ販売開始から3時間。
〝完売御礼!〟
大量に持ってきた饅頭、栗モナカ、どらやきは見事に完売した。
ちなみに8時から出店してたので今は11時だ。
「ステージは11時半からだから丁度良いな。ヤギは三番目って言ってたな」
そんなことを親父が言ってると、
「おーい! 木枯!」
髭を生やし、小太りの三十代後半ぐらいの男性が現れた。
「おー、ヤギ! 見に来てやったぞ!」
旧友に会った親父は嬉しそうに返事を返す。
「ヤギじゃない! 本当に人だった!」
「お、電話のお嬢ちゃんか、確か理沙ちゃんだ」
「はい。花蓮理沙です!」
「木枯から聞いたが養子になったらしいね。俺は柳総一、まあ、ヤギって呼んでくれ」
「は、はい! よろしくお願いします。ヤギさん」
「おう、ヤギそろそろ行かなくていいのか?」
「お、そうだそうだ。今回の入賞商品には期待してるからな」
と、俺は町内会のイベントのチラシに目を落とす。
〝優勝賞品ハワイペア旅行券〟
流石は牧野グループの主催のイベントだ。町内会のステージイベントでハワイ旅行とは。
準優勝は〝箱根温泉旅行ペアチケット〟これでも十分に豪華だ。
ちなみに三位はカレーライス。
差が過ごすぎませんかね? 牧野さん。
「ふはは、三位のカレーライスは俺の物だ」
ちょ、三位狙いかよ! ヤギのおっさん!
「カレー好きだもんなヤギ。まあ、頑張れよ」
カレー狙いはクールに去るぜ! と、ばかりに軽く手を振りヤギのおっさんはステージ裏に向かった。
*
爺ちゃん、婆ちゃん、母さんも合流し皆で町内会のステージイベントを見る。
いつの間にか爺ちゃんと親父の手には缶ビールが握られている。
あれやこれやしてる間に三番手のヤギのおっさんの番になった。
「続いてはPN.ヤギさんの番です!」
司会者の紹介を経て、拍手と共にヤギのおっさんが現れる。
「ヤギです。ボイパやります」
ピタッとビールを飲む親父の手が止まった。
「凄い、ヤギさんボイスパニック出来るの?」
「ボイスパーカッションな。何だよ、ボイスパニックって、婆ちゃん……」
「ユキマサ、あながち間違いじゃねぇかもしれん」
「?」
次の瞬間、イベント会場に耳を塞ぎたくなるようなボイパが響いた。
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