第784話 稗月ノ眠リ唄4
*
婆ちゃんと酒とつまみを買い出して戻ると、黒のロンTに白黒の縦縞ジャージの親父が逆立ちしていた。
「ユキマサ、母さん何で反対向きなんだ?」
「いや、親父が逆立ちしてんだよ」
酔いすぎだろ?
「酒買ってきたぞ」
「あら、ありがとう。お義母様もありがとうございます」
サザエ様のお母さんのような和服姿の母さんが同じく和服(こっちは柄物)の婆ちゃんに礼を言う。
「いいのよー。あ、理沙ちゃんにはこれ」
「あ、からあげさんだ!」
「ソーロンの独自商品美味しいわよね」
わーい! と、からあげさんを食べる理沙を見て婆ちゃんも嬉しそうにしている。
その脇で着流しの爺ちゃんがゆっくりと酒を飲む。
「母さん、飲みすぎじゃねぇか?」
「馬鹿、ユキマサ。吹雪を止めるな。こっちまで飲めなくなる」
慌てる親父。親父はもうベロベロなのに目ざとくというか、耳ざとく俺の制止を止める。
まあ、追加で酒買ってきたばかりだしな。
「もう少し飲みたいわ」
「そう来なくちゃな!」
母さんはたまにだからまだいいけど、親父の奴は肝臓大丈夫かね? まあ、イカれたら俺が治すけど。
宴会は日暮れまで続いた。ゴミ等を残さないように気を使いながら片付けをし帰りの車に乗り込む。
母さんも酔っぱらって晩飯どうするんだろ? と、我ながら食い意地の張ったことを考えてると親父が口を開いた。
「母さん、そこを左折だ。ファミリーなレストランを予約してある」
「はーい!」
いやいや待て待て、何だよ? ファミリーなレストランて? それただのファミレスだろ? 何を洒落た風に言ってんだよ!
ファミリーなレストラン。ハンバーグが特に美味いゴゴズに着くと後部座席で微笑ましく寄り添い寝ていた母さんと理沙を起こす。
「むにゃ……からあげさん?」
「誰がからあげさんだ。寝ぼけてないで起きろ」
「あら、嫌だ。私ったら寝ちゃってた」
「良く寝てたぞ、母さん」
寝起きが悪い親父や俺と違って、寝起きがいい母さんはパッと目を覚ます。
「理沙ちゃん晩ごはんよ。ハンバーグ食べましょ」
「え? いいの。ありがとう、おかーさん」
最初の頃と比べると大分理沙も家に慣れてきてくれたな。始めに家に来た時は白飯一杯で遠慮してたのに、嬉しいことだよ、理沙。
そして皆で食事を取り(六人全員ハンバーグ)家に戻る。盛り上がってた爺ちゃん、親父、母さんは追加で生ビールを飲んでたが止める者は誰もいなかった。
こうして花見の1日は過ぎた。
ちなみに写真嫌いの俺だがこの日の日中に撮った家族写真は大事にアルバムにしまっている。
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