第779話 もう1泊
「まあ、あいつなら大丈夫だろ。実力も確かだ。少し危なっかしい所もあったがな」
年上の女性に言う言葉じゃないかもしれないが、シラセは精神的にまだ未熟に思えた。
簡単に言ってしまえば嫌いじゃないが純粋なのだ。
世の中の汚い底の部分を知らない。そんな感じだ。
「クルッテル、私を蚊帳の外にするのでないです!」
エメレアやシラセの件で置いてきぼりを食らってるアリスは少し期限が悪い。やばい、折角ご機嫌が直って来た所なのに何やってんだよ俺!
「悪いアリス。待たせたな」
「別に待ってはないのです。私も話に混ぜるのです〝鶴〟はともかく〝独軍〟には私も少しばかりですが面識があるのです。先日〝中央連合王国アルカディア〟で開かれた会議では奴はお前を心配してたのを覚えてるのです」
アリスは少しだけシチューを食べる手を止め、真剣にそんなことを言って来る。
「それは悪いことをしたな。次あったら謝らないとな。あ、でも立場的に俺と仲良くするのは不味いか」
「本当に困ったことなのです。お前の容疑はいつ晴れるのですか?」
「まあ〝シルフディート襲撃〟は理由はともあれ事実だしな。その辺は覆すのは難しそうなのが現状だ」
「お前の魔王討伐とウルスラ撃退の功績を忘れるではないです。チャラとは言いませんが少なくない恩赦があっても可笑しくないのです。それに元はと言えば〝シルフディート〟に問題があったのです。今時政略結婚は流行らないのですよ。今の世では人権に触れることもあるのです」
「政略結婚が人権に触れるは新しいな」
「世界は常に前に進んでいるのですよ?」
止まってた手が動き、シチューを食べるのを再開するアリスは「美味しいのです♪」と、ホッと一息。
*
食事を済ませると、俺たちは〝アーデルハイト王国〟に再度1泊する。ちなみにニールスは食事のあと「ご馳走さま」と言い残し、ジャンとフィップに改めて深々と礼を言われながら自分の国に帰っていった。
もう少し長居しても良かった気がするがな。まあ、どうせ妻に会いたいとかだろう。愛妻家め。
そして就寝モードの俺たちはまた部屋を借りる。クレハと桜は一緒の部屋に、黒芒は俺の影に入り寝る。まだ黒芒は飲んでるから寝るのはもう少しあとだろうけど。
明日の予定を伝えようとクレハと桜の部屋に少し邪魔しようとすると、俺より少しだけ早いタイミングでクレハと桜の部屋に来訪する幼女の姿があった。
他でもないアリスだ。
ぬいぐるみと枕を持って何処へ行くのかと思えば。
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