第777話 勝手な約束
ほうれん草が大嫌いなアリスちゃんは目の前に盛られた大量(器にこんもりぐらい)のほうれん草を見て眉をピリつかせる。
「お嬢様、いくらなんでもその量をいきなりは……このジャンお気持ちだけで胸が一杯でございます」
「う、煩いのです……! これは私の勝手な約束なのです。それにこれくらい私にかかればお茶の子さいさいなのです!」
強がってはいるが、明らかに嫌な様子が伝わってくる。
「いただきますなのです」
えーい、ままよ! と、ばかりにアリスはほうれん草を口に運ぶ。
もぐもぐ。もぐもぐ。しょぼーん……
やはり美味しくなかなったらしく食べ物を食べた後にショボくれた顔をするアリス。
てか、食べ物食べてショボくれる奴は初めて見たぞ。こんなにも分かりやすいんだなー。
「あー、アリス、唐辛子食うか?」
俺の問いにアリスは首をフルフル。
「唐辛子もしばらく我慢なのです。半月いや十日は食べたくても食べないのです」
「なら、他の美味いもんを食おう。ほら、このシチュー何て実に美味そうだぞ!」
「はい。ありがとうなのです。いただくのです」
乗り気な内にシチューを取り分けてやり、無事に俺たちは食事を進める。
「そーいや、ニールスさっきから何を読んでるんだ? 新聞か?」
「ああ、今朝の物だ。この騒動にはまだ触れられてない。だが明日にでも今回の一件は新聞の見出しを飾るだろう。ここに来ての〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟の損失はデカい」
「後、一個か。確か〝中央連合王国アルカディア〟に最後の一つがあるんだっけか? 六……じゃなかった今は四魔導士か、が、いるんだから、安全度はピカイチじゃねぇか?」
「まあそうだろうな。
〝独軍〟──シラセ・アヤセ
〝霧裂〟──パンプキック・ジャック
〝仙極〟──ヒルグラム・パンサー
〝十尾〟──ヴァジラ・フォーコーン
いづれも恐ろしい実力者だ。ここに一人新たに〝王国魔導士団〟にスカウトされた物が記事になっているぞ。君たちの街〝大都市エルクステン〟からだ。
これは珍しい〝鶴〟の覚醒だ。名は──エメレア・鶴・エルラルド。君たち何か知ってるか?」
新聞を手渡され記事を見ると、
「おい、クレハ。これエメレアだよな!? 髪の色が違うが染めたとかか? あ、いやそう言えば髪の色は魔法でどうとでもなるのか。ノアで学んだな」
クレハも食い気味に新聞を覗くと驚きの声をあげる。
「え? 嘘!? あ、本当だ! これエメレアちゃんだよ! でも、ハイエルフって!?」
「何だやはり君たちの知り合いか? 世間は広いようでやはり狭いな」
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