第774話 鶴の覚醒29
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ノアが湖を後にすると、ミリアとシロメアはバーベキューの準備をする。
「私、分かりましたから。頭の中でギャーギャー騒がないでください。オリジナルの私の分もありますから。三人で彗星を見ると言って下さったのは他ならぬミリアさんですよ。まさか信じられないのですか?」
『そんなことはないけど……私よりシロのがミリアと接してる時間が長いじゃない! ずるいわ!』
「それはそれ、これはこれです。私、とにかく静かにして下さい。バーベキューの仕込みが間に合いません」
『ぐぬぬぬ、というか、何でオリジナルの私より手際が良いのよ!』
「ハイエルフですから」
『ぐぬぬぬぬぬぬ……!』
「シロメア?」
「あ、すいません。ミリアさん。少し私と会話していました」
「ううん。大丈夫だよ。エメレアは何だって?」
「早く変わってくれだそうです。オリジナルの私は我が儘ですね。反省します。まあ、ミリアさんを大切に思ってるのは間違いないですから責めはしませんが」
「? まあ、元気ならいいよ。三人で彗星、夢みたいだね♪」
そう言いながらミリアは「♪」と鉄串にピーマン、肉、玉ねぎ、人参、肉の順番でテキパキと刺していく。
バーベキューコンロの中に炭で火を起こし〝本格キャンプセット〟を組み立て、ミリアお気に入りのカボチャのランタンに灯をともすと、辺りは日が落ちてきて少し涼しい風が吹いた。
「わ、急がなきゃ。焼きそばと串焼き焼いちゃおう」
バーベキューコンロの半分を鉄板でもう半分を串焼き用にして焼きそばと串焼きを焼き始めるミリア。
一方、シロメアからエメレアに戻ったエメレアは飲み物を用意する。木樽に烏龍茶という組み合わせだ。
調理が終わる頃にはすっかり日は落ち夜空には満天の星空が広がっていた。
「あ、シロメアになってる!」
「はい、さっき振りです。最初は私からみたいです。私もたまには気が利きますね。綺麗な空です」
ぐぅ~っと、ミリアの腹の虫が鳴いた。
「ふふ、ごはんにしましょうか」
「うん♪」
「今日はテントで寝るんですよね。かなり本格的なやつですよねこれ。疎通した記憶によると、私もこれ持ってるんですね……」
「〝本格キャンプセット〟は遠征の時とかには必需品だからね。ギルド騎士なら無料でもらえるんだ」
ミリアはご機嫌だ。何せ願ってもないエメレアとシロメアの三人(実質二人)で彗星を観れるのだ。
楽しくて、楽しくて仕方がない。
そんなミリアを「本当に可愛いですね」と、シロメアはそっと息を吐いた。
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