第773話 鶴の覚醒28
「ふむふむ、なるほど。これは〝鶴〟の方のエメレアさんが自分で閉じ籠っちゃったのか。何々『エメレアはオリジナルの一人でいいんです』だって、真面目な性格だなぁ」
「ミリアちゃんが二人に会いたがってるよ。いいのかな? このままだとミリアちゃん泣いちゃうよ?」
ノアの言葉を聞くとエメレアが光る。何を言っているか分からないかも知れないがエメレアが発光しているのだ。現状、それ以上でもそれ以下でも無い。
「ミリアさん!」
一瞬にして髪の毛が白銀色の髪に一房の赤い髪、すなわち〝鶴〟のエメレアがミリアに飛び付く。
「わ、エメレア!」
嬉しそうなミリア。
するとまたエメレアが光ると髪が金髪に変化する。
「ちょっと私、私にもミリアをハグさせなさいよ!」
またまた光ると白銀色に一房の赤い髪に変わる。
「嫌です。私。私が今ミリアさんとお話しているんです」
別にお話はしてなかったのだが、そこはみんなスルーした。
「じゃあ〝鶴〟の方のエメレアとまず話そうかな」
「はい。また私に会いたがってくださり本当に嬉しいです。あ〝鶴〟って呼びづらいですよね。オリジナルの私をそのままエメレアで、この私をシロメアというのはどうでしょう? 安直過ぎですかね?」
「ううん。いいと思うよ。シロメア、よろしくね!」
するとノアが口を開く。
「シロメアさんか、私もそう呼ばせてもらっていいかな? 私は白娘なんて呼ばれたりもするよ」
ふふふ。何か似てるね♪ と、ノアは笑う。
「はい。あ、今、オリジナルの私と記憶の疎通ができました。私がお世話になっているみたいですね。今回の一件も本当にありがとうございます」
「いいよ、いいよ。気にしないで。で、シロメアさん、記憶の疎通が出来たってことはユキマサ君のことは思い出した?」
「……はい。命の恩人に私は恩を仇で返すような失礼をしてしまったようですね。反省しています」
「そう。それならシロメアさん、貴女も力を貸してくれない? 少し小競り合いになりそうなんだ」
「私に出きることならば是非に。他ならぬ私の失態の償いを出きるならば喜んで」
「よかった♪ なら、時が来たら声をかけるね。多分、そんな先の話じゃないと思う」
「分かりました」
エメレアは深く頷く。
「そう、ありがとう♪ それじゃ私はおいとましようかな。少し用事もあるし。ああ、後、今日は彗星が見えるらしいね。この湖からみるならさぞ絶景だろうね♪ まあ、記憶の疎通が出来たなら記憶の整理をしつつ、綺麗な彗星でも見ればいいんじゃないかな♪」
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