第772話 鶴の覚醒27
*
すっかり寝コケてしまったミリアは彼女にしては少し遅い起床をする。
「ミリア、ミリア!」
「エメレア!?」
ゆさゆさとミリアの身体を揺らす、金髪の髪に戻ったエメレアの姿があった。
「いつもの姿に戻ったの!? 記憶は?」
「いつもの姿? 私は私よ? 記憶はここ数日の記憶が無いのよね。気づいたらミリアの実家にいたわ」
自身の髪の毛を指先で弄りながらエメレアは答えた。
「エメレア、エメレア……」
よかった。と、思うと同時にミリアの心の中ではチクチクと何かが刺さったような気持ちになった。
じゃあ。あのエメレアはどうなったの?
数日の間だけだが、確かに彼女はそこにいた。
彗星を見ようとも約束もした。
「エメレア、ごめん。お手洗い行ってくるね……」
ミリアは走った。流した涙をエメレアに見つからないように。
外に出たミリアはしばし泣いた。
行き場の無い感情を押し殺す為に。
*
「ミリア……」
部屋に戻ったミリアは心配そうなエメレアに迎えられた。声には覇気が無い。
「エメレア」
「やっぱり今の私は嫌? 少しだけ覚えてるの。私が私じゃないそんな夢みたいなことを朧気に」
「嫌じゃないよ! でもね、あのエメレアとも約束したんだ。一緒にいようって、彗星を見ようって……」
「ミリア……」
「私、どっちもがいいな……私、欲張りだから、我慢強くなくて、貪欲だから」
涙は頑張って我慢した。これ以上はエメレアを困らせたくなかったから。
そんな中、一人の来訪者が現れた。
「あ、エメレアさん。起きた? ミリアちゃんもおはよう。ぐっすり寝てたね。ふふ、可愛かったよ」
「ノアさん!? あれどうやってここに? タケシはどうしたんですか!?」
部屋に現れたのは大聖女ノア・フォールトューナだ。ちなみに普通に不法侵入である。
「ん、歩いてかなー。タケシさんなら空をぐるぐると飛んでるんじゃない? 私には気づけてないよ」
「ノアさん、私を起こしたのってノアさんですか?」
「そうだよ。全く水くさいなぁ。私に相談してくれれば魔力障害や記憶障害ぐらいどうとでもしてあげたのに。まあ、今回は〝鶴〟の件で話を聞いたんだけどね。スゴいやエメレアさん一気に〝限界超越者〟だ」
「ノアさん〝鶴〟って白髪のエメレアのことですよね? また、また会えるんですか!?」
「え? 会えるよ? 簡単に言えば多重人格みたいになっちゃってるけど、エメレアさん次第でオンオフは制御できる筈だよ。そのうち記憶も繋がると思うし……って、あれ? 鍵かかってる」
エメレアの額にノアが手を当て首を傾げる。
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