第765話 鶴の覚醒20
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〝ルスサルペの街〟近隣の森・上空
あり得ねぇ、あり得ねぇ! あの女、俺様の腕と心臓を意図も容易く破壊しやがった!!
クソ、出直しだ。次あったら只じゃおかねぇ!!
冷や汗と共に空を駈けるシャルロテは覚醒したエメレアの戦闘力をまだ見誤っていた。
「おや? 聞いていた話と少し違いますね。なぜ、魔族がこんな手負いで逃げているのですか?」
「チッ!? 誰だ、こんな時に!!」
「名乗った所であなた達は人類の名をまず覚えないでしょうが、まあいいです。私はロキ・ラピスラズリ。あなたを葬る者ですよ」
先制を取ったのはロキだ。ぐにゃりと陽炎のように身体を歪ませ、まるでお化けみたくホラーチックにシャルロテに迫った。
狙うは魔族の頭部の一点。
紫色の熱線がシャルロテを捉える。
「流石に堅いですね」
「このッ、死に損ないがァ!!」
シャルロテの魔力を纏った拳がロキを襲う。
が、ロキは無傷だ。
「チッ、合わされたか。人類にしてはやるな」
「普段のあなたならば、こうも容易くはいかなかったでしょうが、今のあなたなら今の私でも倒せそうだ」
ロキの放つ静かな殺気はとてもレベル70の放てるそれでは無かった。もっと強い何かだ。
種族が変わるほどのイレギュラーな人類のロキにはまだまだ周囲には知らせてない秘密があるのだろう。
「〝霊吸〟」
シャルロテの数mほど頭上から逆さの体制で手を伸ばしロキは魔法を使う。
「何だ、俺様の魔力が吸い取られて!?」
うわぁぁ!! と、声を出し唸るシャルロテ。
エメレアに破壊された心臓部の再生にたっぷりの魔力を使い込んでるシャルロテには効果は抜群だった。
「ご馳走さまでございますよ」
魔力を奪ったロキは力に漲っている。
「このッ! 舐めやがって!!」
「生憎、魔族を侮る程の実力は持ち合わせておりませんので、最後は上級魔法でお相手いたしましょう」
ロキの右手に強い魔力が集まる。
「〝天川星屑〟!!」
刹那の時間、シャルロテは走馬灯を見た。随分永く、飽きるほどに生きてきたなと己を笑った。
「ふざけんじゃねぇぇェェ!!」
最後の咆哮から全力で魔力でガードするが、ロキの魔法を跳ね返すだけの力は無かった。
驚愕に見開かれたシャルロテの目を最後にシャルロテの頭部をロキの魔法が貫く。
「それはこちらの台詞です。よくも罪も無い人々を手にかけてくれましたね。死んで詫びて下さい。まあ、それでも1ミリすら謝罪になりませんがね……」
こうして〝ルスサルペの街〟魔族襲撃事件は幕を閉じた。余談だがドロップした〝魔族の魔力核〟はロキが後に〝聖教会〟へと持ち帰るのだがそれはまた別の話しである。
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