第764話 鶴の覚醒19
「タケシどうしてここに!? ッ、わ!」
魔族シャルロテがミリアの首根っこを掴む。
まるでエメレアが見た悪夢の再現かのように。
再びタケシが熱線を浴びせようとするが、ミリアがシャルロテの手にある以上は、容易に動けなかった。
「ミリアさん!!」
「エメ……レア……」
生きてる。ミリアさんが生きてる。
ただそれだけのことで心が和らいだ。
だが、ピンチには変わり無い。
「こいつの心臓はいただく。その竜もだ。俺様は今とても腹が減っている」
「ミリアさんを離せ!!」
エメレアの魔力を纏った拳が魔族シャルロテを直撃するが、ダメージは無い。
代わりにエメレアがドバンと吹き飛ばされる。
「ハハハ、こいつの命が惜しいか、そりゃイイコトを聞いた。ショーを始めよう。殺戮のショーを」
そう言い放った魔族シャルロテのミリアを握る腕が燃え上がる。
「ううっ……」
シャルロテの火の熱でミリアが痛みに耐えかね唸るが、シャルロテは傑作とばかりに笑い飛ばした。
「ミリアさんを……」
「ん? 何だ、まだ生きてたか」
「ミリアさんを離せ!!」
次の瞬間、エメレアの髪の色が白に変わる。正確には銀髪に前髪の一房だけが赤い。そしてエメレアの手に何もない空間から弓矢が現れた。
「装填〝鶴の矢〟!!」
エメレアの魔力で作られた弓矢のとてつもない威力に、されどの魔族シャルロテも目を見開いた。
「ッ!?」
ミリアを掴んでいたシャルロテの腕の一本をエメレアの矢は容易く貫き破壊した。
「お、俺様の腕がぁ! あり得ねぇ!」
「次矢装填・続きます! 〝両鶴の矢〟!!」
二つの矢がシャルロテの硬い腕と心臓部を射抜いた。
「エメレア……凄い……」
心臓部は風穴が空くほどに破壊した。後は頭部を破壊すれば魔族シャルロテを倒せる。
三歩、四歩とシャルロテが「何だ、この力は……」と、驚愕しながら後ずさる。
魔族の討伐まで、あと一歩だ。
だが、エメレアは魔族の討伐よりも、地面に転がるミリアの救出を優先した。
「ミリアさん! 〝回復魔法〟使えますか!? それかポーションを!!」
首の皮膚が焼け、身体にもダメージがあるミリアをエメレアは本当に心底心配していた。
「……ポーションがポケットに……でも……その前に魔族をエメレア……人類の敵が後一歩で……私はいいから……」
指を動かすのさえ辛そうなミリアの代わりにエメレアは「失礼しますね」と、一言声をかけミリアのポケットからポーションを出しミリアに飲ます。
「大丈夫ですよ。ミリアさん、どうやらお早い援軍のようです。強いですね。あの方に魔族は任せてよさそうです。今は自分の身体の心配をして下さい」
遠くを見るエメレアはまるで何かを見透かしたようにそう伝えるのだった。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




