第763話 鶴の覚醒18
*
──ハッ!! っと、嫌な汗を掻く感覚と共にエメレアは目を覚ました。
「──ゆ、夢……ミリアさっ、うっ……」
頭の奥が痛い。記憶も取り戻したワケでもない。
我ながら最悪の夢を見たとエメレアは思う。
「ミリアさん……生きてる……会いたい……生きてるミリアさんに会いたい……」
家の外に飛び出すと、家の前で家を守るように鎮座するタケシの姿があった。
「タケシさん、お願い。ミリアさんに会いたいの。この胸のありがとうって気持ちを生きて伝えたいの」
タケシは困ったように「グウ……」と、唸った。
ミリアに言われたのはエメレアの護衛だ。
「私でも1ミリぐらい役に立てるかな。足だけは引っ張らないようにしませんと……1ミリが勝機を握る戦いがあってもいいですよね? タケシさん、私を連れてって下さい。ミリアさんの元に。あなたのご主人様を助けに一緒に行きましょう。あんな思いは私は嫌だ……」
エメレアの言葉にタケシは奮い立った!
あいや、分かった! 共に参ろうと!
生前、ミリアの父トアと約束を思い出した。
『ミリアのことを頼むよ。タケシ。君の寿命のが私より永いだろうからね。ずっと守ってやってくれ』
生前、ミリアの母ミトリとの約束を思い出した。
『私は多分、長くない。ねぇ、タケシ、ミリアのことをお願いね。ちょっと妬けちゃうけども、あなたの方がミリアと居れる時間が永いだろうから』
『『タケシ、いつもありがとう! 約束だよ!』』
何故、今まで忘れていたのだろう。
大好きな主人たちとの約束を。
すまないミリア『エメレアを守ってくれ』と言われたが、先にミトリとトアとの先約があった。
「タケシさん、行きましょう。私は戦う!」
失礼します。と、タケシの背中に乗るエメレア。
「グウオオォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
ミトリとトアとの約束を守るため、ミリアの命令をタケシは苦渋のだが、男の覚悟で放棄した。
*
〝ルスサルペの街〟街中
「ミリアちゃん! 危ねぇ、避けろッ!!」
ラックが叫ぶ、見ると魔族シャルロテがミリアに向け強めの火魔法を口から吐こうとしている。
ラックもエルタもミリアのカバーに入ろうとするが、間に合わない。
当のミリアも満身創痍、何とかその場を離れようとするが、ふらついて倒れてしまった。
「「ミリアちゃん!!」」
ラックとエルタが目を見開きミリアの死を覚悟する。
だが一足早く、シャルロテの反対側から熱線が浴びせられた。
シャルロテの火魔法を相殺したのは他でもない。
「タケシ!?」
蒼き大きな空竜の〝変異種〟タケシであった。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




