第762話 鶴の覚醒17
すると慌てた様子で二人の人影が現れる。
「聞こえました。ミリアに何か!?」
「ミリアが魔族と戦ってるって!?」
現れたのは顔を青ざめさせた金髪のポニーテールの女性システィアと、白髪頭だが気品があり上品さを感じさせるクレハの祖母マリアだった。
「フォルタニアちゃん。あたしもすぐ行きます。ミリアのピンチには仕事を放棄してでも向かう所存です」
人は彼女を拳の拳聖と呼ぶ。
「マリア教官が向かってくれるのであれば心強いですね。至急ヴィエラ隊長も呼んでください!」
この三人ならば……と、フォルタニアが頭を悩ませた時、背後から声がかかった。
「私も行きましょう。話は概ね理解してますよ」
「ロキ!? いつからそこに? 行くのですか!?」
副ギルドマスターであるフォルタニアさえもギルドマスターである彼の出撃には目を見開いた。
「ギルドマスターが動くのか!!」
「〝英雄ロキ〟だ!!」
「日中はあまり得意ではありませんが、今日は曇りだ。システィア隊長、マリア教官、私は一足先に行かせて貰いますよ」
そうロキが告げると、ぐにゃりと空間が歪みロキが消えた。ロキは世にも珍しい〝半霊人〟だ。特殊なスキルも持っているのだろう。
数分後、食事中だった第三騎士隊長ヴィエラとシスティア、マリアは合流し、ヴィエラは自身の翼で、システィアとマリアはウララとサンビームが乗ってきた空竜に乗り〝ルスサルペの街〟を目指した。
*
──ミリアさんが死んだ。
魔族に心臓を一突きされ、驚くほど呆気なく亡くなった。
その心臓を魔族は高らかに笑って口に放り込んだ。
嫌な汗がドバッと出てきて、目の前が信じられないほど真っ暗になった。
……ミリアさん……ミリアさん! ミリアさん!
ピクリとも動かないミリアさんに私は勝手にミリアさんの家から持ってきたポーションを浴びせる。
これでどうにかなるか分からなかったけど……
いや、こんなんじゃもうどうしようも無いって脳ミソは分かってるけど、ミリアさんの死を私は、私の身体は認めることを全力で否定した。
ミリアさん──
何も分からない、何もできない、記憶の無い私を一番に支えてくれた人。
何度も何度も泣くぐらい私より二周りは小さな身体で一生懸命に励ましてくれた人。
人と食べるごはんがこんなに美味しいと忘れていた私にまた覚えさせてくれた人。
私の、大好きな、大好きな、私の友達。
嫌だ、嫌です。逝かないで──!!
まだちゃんとお礼も言えてない。
ミリアさんとまだ過ごしたいんです!
──ミリアさんを、私の大切な人をよくも!!
魔族──絶対に許さない!!
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