第761話 鶴の覚醒16
*
〝ルスサルペの街〟
ミリア湖・ミリア家前
「おじさん、おばさん! 良かった、無事だったんですね!」
全力で走ってくる二人を見てエメレアは安堵する。
「ミリアちゃんが助けてくれたんだ。エメレアちゃん、記憶は戻ったかい?」
「すいません……」
「いや、いいんだ。すまんが〝大都市エルクステン〟までの空竜を借りるよ。援軍を呼びに行く。エメレアちゃん、君も来るんだ〝大都市エルクステン〟なら、ここよりも何倍も安全だ!」
そうサンビームに言われるが、エメレアはふるふると首を横に振った。
「その空竜は二人乗りですよ。私はミリアさんを待ちます。また会うと約束したんです。ここで待ちます。それに三人だと到着が遅くなります」
反論を許さない力強い声音だった。
「分かったわ。ミリアちゃんをお願いね」
一分、一秒でも惜しいと二人は残ると決めたエメレアを気にしながらも空竜に乗り込む。
「必ず援軍を呼んでくる」
頷き返すエメレアに見送られ二人はミリア湖を空竜に乗り立った。
サンビームとウララを見送ったエメレアは勝手ながらミリアの家の中や周りで武器を探していた。
「私も戦わなきゃ」
剣でも槍でもいい。何か武器になるものをと探すが見つからない。
そしてそれは突然だった。一瞬の目眩の後にパタリとエメレアは倒れた。
*
〝大都市エルクステン〟
復興中の〝大砦の門〟を抜け、空竜でギルドに突っ込む。無茶苦茶な運転だったが、それでも着いた。
着くと同時にサンビームとウララは大声で叫んだ。
「助けてくれーー!!!! 〝ルスサルペの街〟に魔族が出たんだ。今、第八隊のミリアちゃんが俺達を逃がすために残ってる! お願いします! どうか〝ルスサルペの街〟に援軍を!!」
人だかりの中、二人は頭を地面に付けて頼んでいた。
「すいません。火急のようです。通していただけますか?」
人だかりを掻き分け一人のエルフが現れる。
「フォルタニアさんだ」
「副マスだ」
「魔族だってよ」
「おい、嘘だろ。あんな辺鄙な街に」
現れたフォルタニアにウララは必死に抱きついた。
「副ギルドマスター様、お願いします! 援軍を! ミリアちゃんを助けてください!」
どうか、どうか、と涙まで溢し必死に懇願する。
「分かりました。大丈夫です。お顔をお上げください。騎士隊長で今すぐ動ける方はどれほどいますか?」
するとギルド職員から返事が返って来る。
「ヴィエラ第三騎士隊長とシスティア第八騎士隊長の二人ほどです。参りましたね。魔族相手に二人じゃ……騎士隊長たちの強化合宿で出払ってるのが仇となるとは……」
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