第754話 鶴の覚醒9
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「そんなことが……」
ミリアから今のエメレアの状況を聞いたお団子屋のおばちゃんが驚愕と心配の表情をする。
「おばさん、ごめんなさい。私、きっと沢山お世話になったのにおばさんのこと忘れちゃって……」
ごめんなさい。ごめんなさい。と、謝るエメレアをミリアとおばさんは必死に宥めた。
「エメレア、大丈夫、大丈夫だよ!」
「そうよ。エメレアちゃん、私は生きていてくれただけで心の底から嬉しいわ!」
俯くエメレアは何も言わない。
いや、言わないのでは無い言えないのだ。ごめんなさいしか出てこないから、でもその言葉を言うと二人が悲しんじゃうから。
そんなエメレアの前にそっとおにぎりの乗った皿が出された。
「なんだ。エメレアちゃん、話は、聞かせてもらったけどよ。人生山あり谷ありだ。腹が空いたろ? 食べな。記憶なんざいつでも取り戻せるさ」
現れたのはお団子屋の店主サンビームだった。
「……おじさん」
「珍しいねぇ。あんたがこんなに喋るなんて」
お団子屋のおばさんことウララも夫の台詞に驚きの色を見せる。
「団子と握り飯。ミリアちゃんとエメレアちゃんにたらふく食わせてやれ、今の俺たちにゃそれぐらいしかできん」
「そうね、さ、あがって。ごはんにしましょ!」
また涙を流すエメレアの背中を優しく擦りながらミリアが「エメレア、ごはん食べよ!」と、明るく笑いかけた。
「ミリアちゃんには超特大おにぎりを作ってあげるわね。具は何がいい?」
「いいの? えーとね、じゃあ鮭がいいな」
「はーい、直ぐ作るわね。ちょっと待っててね!」
おばさんはそう言い厨房へ走る。
「本当にいい人たちですね」
ポツリとエメレアから溢れた言葉はそんな言葉だった。サンビームにもらったおにぎりを皿ごと大切そうに抱き締めながら。
「いただいたこのおにぎりは具は何でしょうか。ミリアさんと一緒なら面白いですね」
儚げな笑みを浮かべるエメレア。ミリアはエメレアのこんな儚げな表情をはじめて見た。
「はい、お待ちどうさま!」
「「!?」」
団子屋のおばさんは超特大のおにぎりを作ってくれると言っていたが、本当に大きかった。5kgはあるだろうか、ミリアが両手でやっと持てる大きさだ。
そんな大きなおにぎりなのにちゃんと三角形の形をし海苔も絵に描いたように使われている。
「えへへ、おばちゃん、ありがとう♪」
嬉しそうにおにぎりを受け取るミリア。
「エメレアちゃんもそれだけじゃ足りないでしょ」
おばさんは追加で普通サイズの二つのおにぎりをエメレアに渡した。
「すいません。ありがとうございます」
申し訳なさそうに受け取るエメレアにウララは少し困ったように心配なように優しく頭を撫でた。
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