第752話 鶴の覚醒7
「私の味方……」
ツー……と、エメレアは涙を流した。
「え、エメレア!?」
「だ、大丈夫!?」
涙を流すエメレアにシスティアとミリアはあたふたと慌てる。
「すいません。悲しいんじゃないです。嬉しいんです……昔の記憶も思い出したい。お二人との記憶を思い出したい。きっと楽しい思い出が沢山ある……
でも、怖いんです。記憶を取り戻したら、忘れていたい嫌な記憶も思い出しそうで……」
子供のように泣き出すエメレアの手をシスティアは、優しく姫に支えるナイトのように力強く握った。
「大丈夫。皆、そうだよ。私にも忘れたい過去がある。でも、今はそれを塗り替えてくれるような友人が、仲間がいるんだ。エメレア、君もきっと乗り越えられる。私たちが付いてる。何も心配は要らないよ」
そんな言葉にエメレアはまた……いや、今度は嗚咽をあげて泣いた。大丈夫、大丈夫、と、エメレアの背中を何度も優しく擦ってくれる二人の手が、とても、とても温かく感じ、エメレアは更に泣いてしまった。
でも、何よりも嬉しくてエメレアは泣いた。大きく声をあげて。
*
エメレアが泣き止むとシスティアは優しくエメレアとミリアの頭を撫でてから「すまない。仕事に戻らなければ」と、本当に名残惜しみつつ仕事に戻った。
またね。と、小さくながら、システィアの姿が見えなくなるまで、ずっと手を振るミリアの姿をエメレアは素敵な人だなと、横目で見ていた。
「あ、ごめんね。エメレア、これからどうしよっか。どこか行きたい所はある?」
くるっと横を向きエメレアに優しく尋ねるミリア。
「私、森がみたいです……木がたくさんの所に……」
「森かぁ。じゃあ、私の実家に来る? 湖なんだけど、その周りに森もあるんだ。私の家の森と湖だから遠慮は要らないし。知らない人も入ってこないよ」
「いいんですか?」
「うん、勿論、それじゃあ準備して早速行こうね」
*
各自、泊まりの準備をして空竜を借り〝大都市エルクステン〟を出発した。
「あ、そっか。この都市の〝魔術柱〟は破壊されちゃったから出入りの確認はもういらないんだ……」
門に入退場の確認をする人達がいないのを見てミリアは少し寂しくなる。ミリアは騎士隊員なので顔パスでいつも通れていたので深い思い出は無いがそれでも寂しいものは寂しいのである。
「ミリアさん……どうかしましたか?」
「ううん、大丈夫だよ。さ、出発だ!」
空竜の前席にミリアが乗り空竜を乗りこなし、エメレアはその後ろにしがみついて〝ルスサルペの街〟を目指す。
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