第751話 鶴の覚醒6
「そう言えばです、ミリアさん」
「は、はい。な、なんですか?」
急に話の矛先を向けられたミリアが少しテンパりながら返事を返す。
「ミリアさんは有給が貯まってましたね。差し当たっては、この機会に有給消化を行ってはいかがですか?」
遠回しにフォルタニアは『仕事は休んでエメレアに付き添ってあげてほしい』と告げる。
「い、いいんですか?」
「はい、勿論ですよ。本当ならシスティア隊長やマリアさんにもお休みを取っていただきたいのですが、騎士隊長は然り、教官を勤めているお二人には中々お休みが与えられないのが、今の私共の耳が痛いお話ですね。特に騎士隊長は今が正念場です。全員が戦力の底上げに勤しんでいますので月に数日しか休みがないのが現状です」
「システィアお姉ちゃ……隊長に話は伺ってます。皆、大変なんですね……」
エメレアはシスティアやクレハの祖母マリアの話が出たが、特に反応は無かった。やはり忘れてしまってるらしい。ミリアはやっぱりそれが凄く寂しかった。
「と、私はこれから少し仕事で向かわねばならない所がありますので、そろそろ失礼しますね」
「あ、すすすいません。お忙しいところを」
「いえ、お気になさらず。ミリアさん。エメレアさんをよろしくお願いしますね。エメレアさんもお大事になさって、何かあればいつでも私を訪ねて下さい」
「はい、あ、ありがとうございます。今日は本当にありがとうございました」
エメレアとミリアはお礼を言うとギルドマスター室を後にする。
と、その時だ、ミリアがよく知る声が背後から響いた。
「エメレア!? 目が覚めたのか!」
ビクッとし、困った様子のエメレアを見て、声の主であるシスティアは、何か変だと、直ぐに気づいた。
「どうしたんだ、エメレア。私が分からないのか?」
「はい……すいません……」
今度こそシスティアは目を見開いて驚いた。冗談やジョークの類いではない、エメレアは決してそんな冗談は言わないのはシスティアはよく知っている。
「ミリア、これは一体……?」
「うん、あのね──」
──
────
ミリアはフォルタニアとの話も合わせて経緯を全て話した。システィアは最初は信じられないとばかりに驚いていたが、次第に落ち着きながら話を聞いた。
「そう……だったか……すまない。エメレアには大分負荷をかけてしまっていたようだ。忘れてしまったのならば、改めて名乗らせて貰おう。私はシスティア・エリザパルシィ。何があっても私は君の味方だよ」
紳士的に、騎士的にシスティアはエメレアの目線に合わせながら自身の胸に手を当てエメレアに告げた。
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