第749話 鶴の覚醒4
ギルドに着くとミリアはまず、ギルド専属のお医者さんにエメレアを診察して貰おうと手続きを取ろうとする。ゼンスと言う名医がこのギルドにはいる。聞いた話だと第二騎士隊長のリーゼスの弟だとか。
まあそれは今はどうでもいいのだが、症状は記憶喪失だ。ゼンスが名医とは言え、専門分野が違うのではないだろうかと、ミリアは考える。歯医者に内科の相談をしても意味はない。茶道の師範に相撲を取らせるぐらいベクトルが違う。
「あら、ミリアさん、エメレアさん?」
そんなミリアがそれでも手続きを取ろうとしていると綺麗な声が二人を呼び止める。
「フォルタニアさん、お、おはようございます」
ミリアは話しかけて来たフォルタニアに挨拶を返す。エメレアは困った顔で、でも何とか当たり障り無く頭を下げる。
「はい。おはようございます。それにしてもエメレアさん。意識が戻ったのですね〝精神性魔力障害〟と聞いておりましたので大変心配しておりました。〝精神性魔力障害〟では、意識不明のまま、亡くなってしまうケースも少なくはありません。意識が戻ったのならばもうその心配はありませんね。一安心……です……? いえ、どうなされました? 様子が変です」
「な、何でもありません。すいません。大丈夫です」
「嘘ですね。なぜ、嘘を?」
一瞬にしてフォルタニアは己のスキル〝審判〟でエメレアの嘘を見抜く。
そして問いただすと言うよりは自分相手にこうも簡単に嘘を吐いたエメレアに心底疑問を抱くという聞き方で問いかける。
「……すいません。私、記憶が無くて……ミリアさんに教えて貰うまで自分の名前も分からなかったんです」
エメレアの告白にフォルタニアは「!?」と、驚きを見せ「お二人とも少しこちらへご足労願えますか?」と、二人を上の階、最上階、正確にはギルドマスター室に案内をする。
「ロキは今少し留守にしてますので緊張しなくていいですよ。まあ、居ても緊張する必要はありませんが。では、早速ですが、少しお話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか? 私は医師ではありませんが、似たようなことはできます。どうか怖がらずにお話ください」
優しく話すフォルタニアを見た後に、隣に座るミリアを見て「大丈夫だよ」と、ミリアに言われると、エメレアはゆっくりと口を開いた。
「実は──」
──
────
エメレアは朝起きて自分が何者かも分からなく、ここが何処だかも分からない。そして訪ねてきたミリアに大まかな経緯と自分の名前を聞いたことをフォルタニアに話した。
フォルタニアはそんなエメレアの話を真剣に耳をすませて聞いていた。
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