第748話 鶴の覚醒3
「あ、あの、ミリアさん……私これからどうすれば……」
「わ、私にさん付けも敬語も要らないよ」
「あ、すいません……あっ……私また敬語ですいませ……あっ……」
「ううん。ごめんね。エメレアの呼びやすい呼び方でいいんだよ。さんでもちゃんでも敬語でもタメ口でもいい。だから謝らないで、エメレアは何も悪くないんだから」
「あ、ありがとうございます……」
相変わらず敬語は抜けない。今のエメレアはこのまま敬語でミリアとも接するようだ。
「で、これからだっけ? えーと、取り敢えずギルドに行ってみる? お医者さんもいるし」
「はい。分かりました。あ、でも、お金が……」
「大丈夫、私が出すよ! 何も心配しないで」
「そ、そんなワケには……か、貸しておいて貰えると助かります……」
顔を赤くしながらエメレアは俯き喋る。
そんなエメレアを見てミリアが「!」と、何かに気づいた顔をし「ちょっと失礼するね」と、言うと小動物みたいに可愛くモソモソとエメレアの部屋のクローゼットを開ける。
「あ、あった! いつもと同じ場所、はい、これはエメレアのだよ!」
手に持ったのは黄緑色のエメレアの財布だった。
よく遊びに来るミリアはエメレアの財布の場所も覚えていたらしい。
「わ、私のですか? あれ、こんなに……これ金貨ですよね……」
「エメレアは騎士隊で働いてるから、それなりの収入も貯金もあるハズだよ。それにギルドのバンクに行けば預けてたお金も下ろせるし。直ぐに騎士隊に復帰は厳しいかもだけど、当分は普通に暮らす分には困らないと思うよ。それに何か困ったら私が助けるから」
大丈夫、大丈夫だよ。と、何度もミリアは大丈夫と言う言葉を気休めで無く、真剣ながら優しい声で繰り返して何度も何度もエメレアに伝える。
「すいません。ありがとうございます。では、行きましょう……」
エメレアの視線が自身の服に向けられる。
「あはは……まずは着替えなきゃだね。パジャマじゃ目立っちゃうかも、防御性能も薄いし」
先程のクローゼットからミリアはエメレアの私服を身繕い「これに着替えて」と、優しく笑い「外で待ってるね」と、言い残し、ミリアは部屋を出た。
*
数分後、着替えたエメレアが出てきた。
「すいません、お待たせしました」
「ううん、全然待ってないよ。行こっか!」
街中に入ると、人混みに少しオドオドするエメレアをミリアは「こっちだよ」と、小さな手で優しく手を引く。エメレアは「すいません」と相変わらず敬語でミリアと接しながら、二人は街中を進んで行く。
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