第743話 アーデルハイト王国44
「心臓が戻って、いや、作られてきたのです」
アリスがみるみると治っていくジャンを見て感嘆の声をあげる。
「ジャン、聞こえるか? これは何だ血の流れがおかしい。良い意味でな」
「いやはや、重ね重ね忝ありません。私は血流操作のスキルを持っていましてそれで延命しておりました」
「それでか、普通ならとっくに死んでたぞ」
そう言いながら俺は涙目のアリスの頭を撫でる。
「ジャン! あれほど無茶をするなと言っておいたのに何なのですか! ……心配したのですよ。グス……」
「まあ、お嬢、相手が相手だし生きてたんだ。多めに見てやれよ」
「フィップ、お前もなのです〝暴走〟まで使って〝魔力枯渇〟を起こしたらどうするのですか!」
びぇぇ! と、泣くアリスはフィップに抱きつく。まあ、取り敢えず主力人に死人がでなくて良かったよ。
「おい、フィップ、お前の傷も直すからこっち来い」
「ん、ああ、悪いな。今〝暴走〟を解くからちょっと待ってくれ」
するとフィップの髪や瞳がいつもの桃色に戻っていく。へぇ〝暴走〟って言うのね。その状態。力を底上げしてる。恐らく〝限界超越者〟並には力が上がってるな。
「悪いな、治療頼むぜ。特に横腹が痛む」
「失礼するぞ」
そう言ってフィップの服をめくると……うっ。
こりゃ酷ぇ。幾人も怪我人を見てきたがトップ3に入るな。内臓がスクランブルエッグだ。
こいつもよく生きてたよ。
つーか、アリス大大好きのフィップがアリスに抱き付かれてるのを差し置いて、文句一つ言わずに治療を頼んできたんだ。そうとう痛むなこれは。
フィップの傷を見たアリスも絶句している。
「正直〝暴走〟を解いたら意識が飛びそう何だが、これ治るか?」
「治すよ。少しじっとしてな」
回復魔法を使い、フィップを治していく。
ジャンより少しフィップのが時間がかかった。
「すっげえ楽。怪我が嘘みたいだぜ。お前本当にクルッテルな。これ〝上回復薬〟でも回復圏内を越えてるぜ?」
「軽口が叩けるぐらいには回復したみたいで良かったよ。後、アリスがご立腹だぞ?」
「ヴぇッ!?」
「お前もどれだけ無茶をしたのですかッ! 一歩間違えれば、いやユキマサの回復魔法が無ければ、二人共死んでいたのですよッ」
アリスはまたボロボロ泣いた。本人は自分が泣いてるのに気づいて無い様子だ。我慢しても我慢しても並だが溢れてしまう。そんな状態だ。
「悪かった。お嬢、あたしの為に叱って泣いてくれたんだな。ありがとう」
ポンと、優しくアリスの頭に手を置きながらフィップは笑った。
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