第737話 アーデルハイト王国38
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「聞いたか、クレハ、桜、悪いが俺は〝アーデルハイト王国〟に戻る。黒芒、火急だ出てこい!」
急ぎ俺は俺の影で寝る黒芒を起こす。
「何じゃ、主様、まだ昼じゃぞ?」
「説明はクレハに聞け。俺は少し用事ができた。クレハと桜を頼んでもいいか?」
「ふむ、何じゃか分からぬが任されたぞ」
空気を察してくれた黒芒に二人の護衛を任せて俺は急ぎ〝アーデルハイト王国〟に向かう。
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〝アーデルハイト王国〟王宮。
愧火とシトリvsジャンの戦いでまず最初に動いたのはくノ一姿のシトリだった。
だが、影移動でアリスを追おうとするシトリをジャンはすかさず剣で影を刺し止めた。
「ッ!?」
影を刺すという摩訶不思議な行動で移動を止められたシトリは少なくない驚きを見せる。
というか、影移動を初めて止められた。
「先程、質問に答えていただけましたのでこちらも少しお話しいたしましょう。私のスキル〝覇剣〟は影だろうが霊体だろうが、あらゆる物を捕らえます。貴女と私は相性が悪いようですな」
ドン! と、剣でシトリを押さえたままジャンは魔力を纏った蹴りをシトリにお見舞いする。
相手が女性だからと手を抜いてはいけない。
比喩なしで、やらなければ殺られる。自分だけでは無い、アリスの命にも関わる問題でもあるのだから。
受け身を取りつつシトリは下がる。あまり感情を表に出すタイプではないが口当ての下の顔は悔しそうに見えた。
「そこそこやるみたいだな?」
「魔王にそう言われる日が来るとは思ってもみませんでしたな。今日の私はすこぶる調子がいい。ユキマサ殿に治していただいた体に、フィップ先輩に名前を呼ばれた喜び。この老骨まだまだ張り切ってしまいそうですな」
愧火にジャンが斬りかかるが、何でもないように愧火はジャンの攻撃を刀で受け止める。
「中々の名刀ですな。どうやって入手を?」
「これか? 前に心臓を食った人間から奪った」
「それは刀も浮かばれませんな。名工に焼かれた刀には魂が宿る。その内、しっぺ返しが来ますぞ」
「それを捩じ伏せられるから俺は魔王なんだよ!」
愧火の反撃をスムーズなバックステップでジャンが避けた筈だったが、斬擊がジャンを追って来る。
「これはこれは流石にお強いですな」
ジャンも負けてはいない。
愧火の飛ぶ斬擊をジャンの飛ぶ斬擊で相殺する。
隙を見てシトリが影移動でまたアリスを追おうとするが、
「ですから、行かせませんと申し上げた筈です」
すかさずスキル〝覇剣〟を使いシトリの影に剣を刺し、また止めた。
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