第735話 アーデルハイト王国36
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──〝アーデルハイト王国〟
ユキマサ達が国を出て丁度丸1日が過ぎた頃だ。
昼の食事を終え、食後の唐辛子ティーでアリスが一息いれていた。
そんな時だ。轟音と共に落雷が落ちた。
「な、何事なのです!?」
「お嬢様、落ち着いてください。この落雷は何かが変です。こんな快晴の空に落雷など……」
ジャンが慌てながらも外の様子を見に行こうとした、次の瞬間、王宮の壁が斬られた。
「敵襲!! 全員戦闘態勢準備! アリスお嬢様をお守りしなさい!」
そして現れた二人の敵にジャンは息を呑む。
「魔王愧火……」
「ヒヒヒ、やっと見つけたぜ。行方不明の魔術柱」
「ッ!? はて……何のことですかな?」
ジャンは内心ヒヤヒヤだった。嫌な汗も掻いてる。
だって人類でも一握りしか知らないアリスの〝アイテムストレージ〟に隠された〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟を看破されたようなものなのだから。
「惚けても無駄だネタは上がってんだよ」
「失礼でなければ、理由を聞いても?」
返事は期待できなかったがジャンは時間を稼ぐ。
フィップが来るまでの時間を少しでも。
「いいぜ。教えてやる。こいつの〝透視〟て、スキルで相手の頭の中を読んだのさ。大聖女の頭の中をな」
あのノアがしくった。
その事実にジャンは更に驚く。
こいつと呼ばれたのはくノ一姿の女性。
魔王信仰No.3のシトリ・チャーチだ。
「シトリ・チャーチ……まさか、そんなスキルまでお持ちとは……影移動のスペシャリストとは聞いていましたが」
「とにかくそのチビは殺させて貰うぜ。しかも王族だったな。心臓もいただくか」
「させるとお思いで?」
やるしかない。ジャンは剣を抜き心に決める。
他でもないアリスの為に。
「兵士達、アリスお嬢様を連れて逃げなさい!」
「ジャン、待つのです! お前一人で二人の相手は厳しいのです! 一旦お前も逃げるのです!」
「そうしたいのは山々ですが、こいつらはそれをさせてはくれません。さあ、逃げてください」
ジャンはハッキリと言った。
その時だ、
「何だ、えらいのが来てるじゃねぇか?」
「フィップ!」
アリスが感嘆の声をあげる。〝アーデルハイト王国〟の最高戦力が現れたのだから。
倒すまではいかないにも皆で逃げることはできるかも知れない。そうアリスは思った。
「おい、老いぼれ小僧、お嬢を連れて逃げろ。ユキマサを追え、あいつがいれば必ず何とかなる」
「いいえ、私が残ります。私はただの人間老い先短い身の上でございます。護衛も強いフィップ先輩のがよろしいでしょう」
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