第734話 アーデルハイト王国35
*
昼食を取ったお昼過ぎ。
俺たちは暫くの別れを告げていた。
「アリス、ジャン、フィップ、世話になったな」
俺の影で寝る黒芒も呼び掛けると「仕方ないのぅ」と、この時ばかりは起きてきた。
挨拶はしろよー。挨拶は!
「礼には及ばないのです」
「といいますか、お礼を言うのは私の方です」
「ま、元気でやれよ。逃亡者、にひひ」
犯罪者と言われないだけ、フィップには気を使われたんだろう。呆気らかんとした笑みで笑ってる。
「クルッテル、また遊びに来てくれますか?」
「ああ、その呼び方で呼ばれなくてもよくなった時にまたな。今度はもっとゆっくりするよ」
断られるんじゃないかと言った心細そうな様子でアリスが問いかけてきたが、俺は笑って返した。
「はい。約束なのですよ♪」
アリスも笑った。満面な笑みで。
「全員整列!!」
突如、フィップが声を張る。
何だ何だと、内心思うが取り敢えず様子を見よう。
フィップの掛け声で整列したのはズラリと並んだ500人ほどの兵士だ。
「未来の人類の希望に、魔王を倒し世界を救う英雄に、アリス王女殿下の友人達に、敬礼!!」
ビシッと500人の兵士は揃えて俺達に敬礼をした。
「ハハ、何だよ。嬉しいじゃねぇか。任せときな、魔王を倒し、この世界は俺が救ってやる!」
それだけ言い残し、俺達は敬礼する兵士に見送られながら、この国を後にする。
楽しかったぜ、後丁度いい休息だった。
四六時中、指名手配犯の逃亡者は疲れるからな。俺を指名手配犯と、扱わないこの国は凄く精神的にも肉体的にも休めた。ありがとな。アリス。
*
「何かあっと言う間だったね。楽しかったな」
「はい! 私も凄く楽しかったです。最後の整列はビックリしましたけど」
「楽しい時間はあっという間だ」
「妾はまだ寝たい。主様、影を借りるぞ」
スルリと黒芒が俺の影に入っていく。
折角、高いベッド買ったのに使わないのか?
いや待て、よく考えたら黒芒は夜行性だから昼間に寝る。俺の〝アイテムストレージ〟にある家は人が中に入ってる状態、簡単に言えば生物は仕舞えないので昼夜逆転の黒芒はまず使うことがない。
てか、俺の影でしか寝てる所見たこと無いし。
*
俺達は次の街に向けてどんどん進んでいった。
1日後には〝アーデルハイト王国〟からだいぶ離れていた。谷越え、山越え、大河越えしたりしたからな。
「つーか、クレハに任せきりだが、次の街はどこなんだ? まあ、名前を言われても分からないけどな」
「次はね〝ユグドラシル〟──〝シルフディート〟と並ぶエルフの国だよ」
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