第733話 アーデルハイト王国34
*
翌朝、というか翌昼。俺は目を覚ます。
「あ、起きた」
「クレ……ヤンデルか。おはよう。何でここに」
「おはよう。クルッテル君が起きてこないから起こしに来たんだよ。まあ、起こす前に、丁度のタイミングで起きちゃったけど」
「ヤンデルはあの時間からよく普通に起きれたな」
まあ、酒も飲んでなかったしな。
「うん、何か決まった時間に身体が勝手に起きちゃうんだ。ほんとたまに寝過ごすけどね」
「桜はどうした?」
「桜ちゃんまだ寝てるよ。指輪スッゴく喜んでた。寝る前もずっと眺めてて、今も指輪を抱くようにして寝てるから起こしずらくて……夢の中だけでも、桜ちゃんのお爺さんやお婆さんに会えてるといいね」
「ロマンチックなことを言うな。全くだぜ」
「そろそろお昼らしいから桜ちゃんも起こさないとだね。私は桜ちゃん起こして来るからクルッテル君は着替えて広間で待ってて、アリスちゃんが待ってるよ」
そう言い残しクレハは去っていく。
クレハ目覚ましが聞けなかったのは少し残念だな。
*
「やっと起きたのですかクルッテル」
「悪いな、アリス。オールで飲んでてな」
「まあいいのです。早く座るのです」
席に着くと俺とアリスだけになる。いや、正確にはテーブルの後ろにはズラリと並んだメイドたちもいるんだけどさ。席に着いたのは俺とアリスだけだ。
「そうだ、アリス。俺たちは今日ここを立つよ」
一瞬、凄く寂しそうな顔をした後にアリスは「そうですか……」と、言った。
*
クレハと桜も合流し、執事長のジャンと、何とあの夜行性で有名な〝吸血鬼〟のフィップまでもが眠そうにしながらも現れた。
「どうしたフィップ具合でも悪いか?」
「失礼な奴だ。お前が今日ここを立つと思ってな」
「よく分かったな? 興味本意で理由を聞いても?」
「ただのカンだ」
「そうかい」
クレハと桜も〝え? 今日立つの?〟って顔をしている。俺がうんと答えると「そっか、寂しいね」「はい……」という会話を二人がする。
「オイ、クルッテル〝通信石〟は持ってるな? 最近〝聖教会〟が布教して回ってる奴だ」
「ああ、持ってるが」
「番号教えろ。ウチの国にも一つ貰ってきてある」
「10-2だ。そっちは」
「あたしたちは14-2だ。あたしか老いぼれ小僧には24時間体制で繋がる」
「はいよ。登録しとく。何かあったら連絡しな」
その後、皆で昼食を取った。
やはりこの国はいいな。居てホッとする。
寂しい……な。うん。
でも、行かなきゃだな。
いつまでも甘えてられない。
俺の旅の目的は娯楽じゃない魔王討伐だ!
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