第731話 アーデルハイト王国32
*
日付が変わると早々に片付けが始まった。
「0時に終わるとはまるでシンデレラだな」
「はて、何の話ですかな?」
「いや、何でもない。俺の国の有名なお伽噺さ」
俺の呟きにジャンが頭に〝?〟を浮かべる。
「料理はまだ下げないように言ってありますので、まだまだごゆるりとお寛ぎください」
「ああ、ありがとう」
そーいや、やけにアリスが静だな。
また唐辛子を頬張ってるのか?
と、様子を見ると。
って、寝てるし!
スヤスヤとアリスは寝ていた。クレハと桜から貰ったハンカチを大切そうに持ちながら。
「あたしが部屋まで運ぶぜ」
「畏まりました」
アリスを優しく背負い、何故か悔し気なフィップを俺たちは見送る。おやすみ、アリス。
「何でフィップは悔しそうなんだ?」
「それはお二方にプレゼントで負けたと思ったからでしょう。お嬢様の反応は火を見るよりも明らかでしたので」
ああ、それでか。
ちなみにフィップのアリスへのプレゼントは等身大のアリスの銅像だった。
つーか、どこに自分の等身大の銅像貰って喜ぶ幼女がいるんだよ! 絶対無駄に金かかってるだろ? まあ、十中八九フィップの懐から出てるだろうから別にいいけど。
あいつ、プレゼントセンスないなー。
お土産センス無い奴も多いけど、プレゼントセンスは何とかした方がいいと親父が言ってたな。
*
アリスを部屋に寝かした後、フィップが戻ってくるなり、
「後夜祭だー!! お前ら、飲むぞーー!!」
と、自棄になっていた。
「今からまた飲むのか? お前今まで飲んでたろ?」
「まだ昨日の半分以下だ。それにあたしが二日酔いになる何てまず無い。お前の所の〝千妖〟はおかしい」
すいませんね。ウチの黒芒がご迷惑かけて。
「オイ、クルッテル、お前も飲め!」
「まあ、イイけどよ」
「あれ? クルッテル君、飲むの」
「何だ、クレ……じゃなかった。ヤンデル、不味いか?」
「ううん、大丈夫。飲むなら私もまだ起きてようかなって?」
「? まあ、いいが。無理すんなよ」
ヤンデルとクルッテル……ぷぷぷ……と、腹を抱えて笑うフィップに「オイ、笑ってないで、飲むなら早くしろ」と、言いながらゴンザから酒を受け取り……って、これ唐辛子ウォッカじゃん。
唐辛子祭り終わったんじゃないの? え、後夜祭、そうですか。さいですか。
「私も一杯いただいても?」
「おー、老いぼれ小僧、お前はもっと早くから飲めよ。遅いぞ、バカやろー」
何だかんだでジャンとも飲みたかったらしいフィップが少しの野次を飛ばしながらジャンの席を空けた。
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