第725話 アーデルハイト王国26
*
「朝御飯にするのです!」
アリスの一言でメイドや給仕たちがバンバンと料理を持ってくる。
だが、俺の予想を反し、意外と唐辛子が少ない。いや、あるはあるんだけど、それでも常識の範囲内だ。
「どうしたアリス? 唐辛子祭りじゃねぇのか?」
「本番は夜なのです。朝は軽めにいくのですよ」
さいですか。一瞬でも『これぐらいなのです』という言葉を期待した自分を殴ってやりたい。
「うー、お前ら、起きたか?」
「フィップ? どうしたお前、今朝だぞ?」
〝吸血鬼〟のフィップが朝に活動してることに俺は少なくない驚きを見せた。
「お嬢の誕生会だ。寝てられるか……うぇぷ……」
「バリバリ、オールの二日酔いじゃねぇか!」
「うるせぇ、酔ってねぇ。にしても〝千妖〟は色々と化け物だな。あたしの倍以上飲んでたぞ」
「その黒芒は今は俺の影でお休み中だがな」
どんだけ飲んだんだよ。本当に。
でも、良かった。フィップにはまだ限界があったんだな。
黒芒とかリリリは底無しだったし。
「フィップ先輩、流石に飲みすぎでございますぞ。お客人もいる前で……」
「うるせぇ、老いぼれ小僧……」
「ジャンか、元気そうだな」
「これは失礼いたしました。皆様おはようございます。クルッテル殿、お陰さまで私は元気一杯でございますぞ!」
肺癌が治ったジャンはすこぶる元気だ。
「後はフィップだけか。おい、フィップ額出してみ」
「あぁ? 何すんだよ?」
不機嫌ながらもフィップは近付いて来て額を出す。
そして俺は〝回復魔法〟を使う。
するとどうなるか……
「ん? お、おぉ! 二日酔いが消し飛んだぞ!」
母さんには酔った親父には使うなって言われてた奴だ。俺の〝回復魔法〟は二日酔いも直ぐに治る。
「流石はクルッテル、クルッテルのですね」
そんな様子を見て頷くアリス。
何だよ、クルッテル、クルッテルのですねって?
「何だか知らねぇが、助かったぜ! お嬢の誕生日に二日酔いなんて堪ったもんじゃないからな!」
「半分は家の黒芒のせいだ。礼は要らん」
「さっきまでは見るのも嫌だったが、実に美味そうじゃねぇか。コックも力入れたな。よし、食おうぜ!」
酔ってねぇとか言って、ちゃんと食うのも嫌なほど酔ってたじゃねぇかよ。つーか、さっき二日酔いって言っちゃってるし。全くこれだから酔っぱらいは。
まあ、いいか。今日ぐらい。
何せアリスの誕生日なんだ。フィップにとっては自分の誕生日よりもめでたいことだろう。
にしても、黒芒は酒豪だよな。
あいつ一体どれぐらい飲めるんだろう。トイレとかも行かないしどうなってんだ〝幻霊種〟は?
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




