第718話 アーデルハイト王国19
アリスはプレゼントは要らないと言った。
誕生日を祝ってくれる、いや、もっと小さなこと。誕生日会に来てくれるだけで嬉しいと。
こんな小さな子なのに俺よりも気を使えるんだな。クソ……何でそんな嬉しそうに悲しそうな顔をするんだよ。
アリスは8歳。まだ親に甘えたい年頃だろう。
ジャンやフィップの存在はアリスに取って親代わりのようなものだし心の支えになってる筈だ。
だが、血の繋がった親とはかけがえの無い存在ってだろう。
まあ、血縁者だからと言って理沙とかの例外はあるがな。
「そう言われると余計に何か贈りたくなるな」
「な、私はそんなつもりではないのです!」
「知ってる。だから贈りたいんだ」
「なら、あのカライカで十分なのです」
「うーん、あれは一回土産って言っちまってるしな」
じゃあ、それで。ってのも少し悪い気がする。
「とにかくプレゼントは何か考えとくよ。お前は年下のまだ子供なんだ。遠慮しなくていい」
「……ありがとうなのです」
アリスはいつの間にか〝アイテムストレージ〟から取り出した、熊のぬいぐるみに顔を埋めながら小さく照れ臭そうに呟いた。
そんなこんなを話していると注文していたオムライスが到着した。
「お待たせいたしました。ご主人様、お嬢様」
ハートの文字が綺麗に書かれたオムライスだ。
アリスのはお子様用なのか一回り小さい。
匂いと見た目で分かったが、アリスのはタバスコで、俺とクレハと桜はケチャップで書かれていた。
後、変わったことと言えば、アリスのオムライスだけはハートの文字の中までタバスコで塗りつぶされていた。辛い物好きのアリスはこれぐらいが丁度良いだろう。早速アリスは、どこからか取り出した爆弾唐辛子で「♪」と、オムライスの周りを彩らせてるし……
「楽しいか?」
少し意地悪な質問をする俺だが、アリスは全く気にしてないらしく。
「はい。とっても楽しいのです♪」
と、ご満悦だった。そんなアリスの無邪気な笑顔にクラクラ来てるらしい、クレハと桜もキュンキュンしながら楽しそうにしている。
皆でいただきますをしオムライスを食べる。
「美味いな!」
「あ、本当だ美味しい!」
「今まで食べたオムライスの中で一番美味しいです」
クレハと桜も絶賛だった。
このチキンライスがとにかく美味い。
「ふふん、そうでしょう♪ この店のオムライスは絶品なのですよ。フィップとよく来るのです」
「バターのコクとケチャップの甘味と酸味が癖になる、これは推測だが、隠し味に醤油を使ってるな」
俺の言葉にプロメイドが一瞬、動きが止まったが、それは多分、隠し味の正解を意味していた。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




