第716話 アーデルハイト王国17
「ジャン、私がご機嫌などと余計なことは言わなくていいのです!」
「ほっほ。ご機嫌なのは否定されないのですな」
むむむ……と、俺の肩の上でムスるアリス。
「クルッテル、妖怪世話焼き爺は置いて、早く次の屋台に行くのです」
「はいよ、お嬢様」
「お前はお嬢様と呼ぶのでは無いのです!」
お嬢様呼びが気に入らなかった様子のアリスはポコポコと軽く優しいハンマーパンチを俺に放ってくる。
「分かった、分かった。悪かったよアリス」
どうやら俺にお嬢様やお姫様呼びは止めてほしいらしい。以後気を付けよう。
*
その後、俺は本当に端から端まで露店を制覇した。
軽いものはクッキーから重いものはカツ丼まで売ってたよ。途中、唐辛子専門店があってアリスがガッツリ、俺は普通に買い物をしたが、店の名前が〝アリス様万歳〟だったのは見なかったことにしよう。
つーか、露店でメイドカフェがあるんだが、あれは何なんだ? しっかりした椅子とテーブルがならべられており……店員のメイドはありゃプロだな。
遊び半分のメイドの姿じゃない。
「ふむ、盛況のようですね」
「まあ! アリスお嬢様、いらっしゃいませ。お陰さまで売上も上々でございます」
「何だ、アリス。お前の出資店舗か?」
「いいえ、こやつらが休日も働きたいとごねるので、それでも働きたい奴はここの露店で見せでも出せとフィップの奴が提案して、今に至るのです」
異世界メイドカフェか、何か新しいジャンルだな。
「折角なので寄っていくのです」
「まあ、構わねぇけどよ」
「では、私はこちらで待機しておりますのでごゆるりと」
「何だ、ジャン、入らないのか?」
「私が入って何も注文しないと冷やかしになってしまいますので、ユキマサ殿、お嬢様を頼みましたぞ」
まあ、執事がメイド喫茶にってのもあれだが。
「律儀だねぇ。嫌いじゃないが、ああ、任されたよ」
にしても、人生初のメイドカフェが異世界とは人生ほんと何があるか分からないもんだ。
「お帰りなさいませ。ご主人様、お嬢様方」
他の店より規模が大きく鰻の寝床のようになってる露店に入るとメイドさんが定型文のような挨拶をしてくる。それ、異世界共通なのね。
鰻の寝床のように長い店は露店には珍しく立派な屋根がある。ふーん、これなら雨の日も営業できるな。
メイドが持ってきたメニューを広げると、
「げ、オムライスあるし……」
そこは異世界共通なのか、メニューには花丸の絵文字と共に当店No.1と書かれたオムライスの念写真があった。
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