第711話 アーデルハイト王国12
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〝アーデルハイト王国〟の街はとても賑わっていた。
しかも平和だ。路地裏にまで出店が並んでるが、違法薬物などの横行も無く、小さい子でも買える飴玉とかチョコレートとか売ってる駄菓子屋風の屋台に、これまたザ・駄菓子屋系のお婆ちゃんが店を経営してた。
「平和だな」
「平和だね」
「平和ですね」
俺、クレハ、桜は同じことを同時に言う。
桜の住んでいた国は人拐いが横行してるような場所だったし〝エルクステン〟ですら路地裏にはチンピラや下手したら盗賊がいた。
「平和が一番なのです」
「間違いないな」
そしてもう一つ分かったことがあった。
この国の人間は金に困ってないのだ。無論、全員が金持ちと言うワケでは無いが、食っていくのには困ってない様子だ。
「アリス、この国は金回りがいいのか?」
「金回りは良いのですよ。ちゃんとした職があれば最低限の賃金を国で保証してるのです。病気や怪我で働けないものにもです。まあ、逆に言えばいくら年を取っても働かなければならないということですが、人と人が、国と人が、皆、支えあって生きていくのです。その為の税金なのです。孤児院にも支援金は惜しみ無く渡してるのです」
いい国だな。夢みたいな国だ。
アリスの人気も分かるぜ。
ただ可愛いロリっ子お姫様ではないらしい。
「クルッテル、唐辛子が売ってるのです。急ぎ移動を! ジャン、早く唐辛子を買うのです!」
目ざとく調味料を扱う店を発見したアリスは目を輝かせる。てか、おい、人の頭の上で唐辛子を食べるつもりじゃ無いだろうな?
アリスにねだられ店のおばちゃんに爆弾唐辛子を一袋と頼む。
「あらまあ、まあ、アリスお嬢様、いつもありがとうございます。直ぐにご用意いたしますね!」
このやろ、常連じゃねぇか!
何が『唐辛子が売ってるのです』だ。
確信犯だろ、アリスちゃんお姫様!
銀貨一枚をジャンが払い、ご機嫌で爆弾唐辛子を受け取るアリスちゃんは、やはり俺の頭の上で唐辛子をもぐもぐ。もう食うのはいいから、溢すなよ。
頭唐辛子だらけの異世界生活とか嫌だからな!
とか、考えてたら、そそっと小さいお手々から赤く凄く辛そうな唐辛子が俺の口に運ばれてきた。
何この無邪気な拷問。いや、食べるけどさ?
鳩にエサやってるんじゃ無いんだぞ! どうしたら異世界召喚されてゴスロリ幼女お姫様を肩車して、激辛唐辛子を頭上からお裾分けされるんだよ。
俺の異世界生活はどうなってるんだよ……
指名手配はされるし、名前もクルッテルだしよ……
次あったら覚えとけよアルテナ。
ありとあらゆる愚痴を聞かせてやるからな。
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