第709話 アーデルハイト王国10
俺が言ってようやく湯呑みに唐辛子を善意で放り込むという奇行を止めたアリスはご機嫌に笑った。
「大切に食べるのです♪」
メイドに「国宝並みに大切に保管するのです」と真剣に伝えてイカを渡していた。
国宝並みってまさかイカに護衛とか付けないだろうな? この激辛お姫様。
「まさか、こうも早くカライカを食べれる日が来るとは思ってなかったのです。しかも新鮮な生状態で」
ふーむ。と、畏まったアリスは。
くうっ~、と、喜びを噛み締めている。
「ヤンデル、クルッテル、桜、国を案内してやるのです。さっそく行くのですよ。千妖も来るのですか?」
「妾はよい。ここでこやつと酒を飲んでおる」
「お前、本当に酒好きだな?」
「うむ、妾の好物は肉と酒じゃ。主様よ。たまにはフードマントを被らず街を見てきたらどうじゃ? この国ではアリスがいる限り主様は追われ人でなかろう」
「まあ、確かに、この国では指名手配されて無いようなもんだもんな。久しぶりに異世界の街の空気を堂々とするか。よし、アリス頼んだぜ!」
〝アーデルハイト王国〟は城塞都市だが中々に大きな国だ。まあ〝エルクステン〟のが大きいが。それでも一日じゃ回りきれないだろうな。
「ヤンデルも桜もよいのですか?」
「うん、私も案内頼みたいな」
「私もお願いします」
楽しみ! と、言った表情のクレハもといヤンデルと桜の顔を見るとアリスも満足気に笑った。
「ジャン、よければお前には午後は暇を出すのですよ? 万が一の護衛もクルッテルがいれば十分なのですから」
「なんのなんの私もご一緒させて貰いますぞ。クルッテル殿との街歩きはさぞ楽しいでしょう」
「まあ、いいのです。では、行くのですよ!」
ピョンとイスから立ち「早く行くのです!」と、小さな身体でアピールするアリスをクレハと桜は「「可愛い」」と、口を揃えながら言った。
顔を赤らめ熊のぬいぐるみに顔を埋めたアリスは「お前たちのが可愛いのです」と言い更にクレハと桜のハートをすっかり射止めていた。
*
てくてくと先頭を歩き、王宮から出ようとするアリスを使用人は一切目をくれない。王女が横を歩いてるのにな。
「メイドたちがお前を見てないがそれはその熊のぬいぐるみの効果か?」
「ふむ、鋭いですね。お前には特別に教えてやるのです。リッチには認識阻害の魔法があるのですよ。まあ、お前や大聖女みたいに目の良い奴にはバレてしまいますが」
試しに解いてみてやるのです。と、アリスが言うと、一瞬だけ遅れてメイドたちがこちらを向いた。
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