第702話 アーデルハイト王国3
「自己紹介も済んだ所で皆様お茶でもいかがですかな?」
執事長のジャンがここぞのタイミングでティータイムの誘いをして来る。
「ふむ、たまには良いことを言うのですね。ユキマサ、クレハ、桜、お茶ににするのです。客室へ来るのですよ」
「悪いな、馳走になる。後今寝てるんだが、俺の影の中に黒芒って奴がいる。昼間は出てこないから後で挨拶をさせるが、頭の片隅に覚えておいてくれ」
「まさか、噂の〝千妖〟は事実なのですか?」
「世間様での噂はよく知らないが多分その千妖だ。俺の大切な仲間なんだ。よろしく頼むよ、アリス」
アリスのその瞳は会ってみたいと言っていた。
日暮れまでには嫌でも会わせてやるよ。
あ、いや、嫌なら止めておくか。
*
客間に通されると高級ケーキホールダーンスト。あー、映画のセレブのお茶会とかでよく見る段に盛られたケーキスタンドがたくさん並べられていた。
つーか、広いな。如何にも王族の客間って感じの部屋だ。天井たけー。床の絨毯の刺繍もかなり金がかかってるな。メイドたちも綺麗に頭を下げて並んでるよ。そーいや、王宮と言う物にちゃんと入るのは初めてだな。観光地とかそう言うんじゃ無くて現在進行形で使われてる奴……他に思い当たるとしたら〝シルフディート〟だが、あれは潜入だったしな。あはは。
何十人と座れそうな、超長テーブルの上座にちょこんと座ったアリスが、
「お前たち、何をしてるのです? 早く座るのです」
と、ぺしぺしと熊のぬいぐるみでテーブルを叩く。
「失礼します。お嬢様、お客様方、お飲み物は何をお持ちいたしましょう?」
「私はいつもの奴を貰うのです。お前たちは何にするのです? 遠慮は不要なのですよ」
「じゃあ、俺は茶をくれ、温かい緑茶がいい」
「私は紅茶をおねがいします」
「わ、私はオレンジジュースをいただきたいです」
かしこまりました。と、美人なメイドは綺麗に一礼し、飲み物を持ちに行く。
「そーいや、フィップは寝てるんだったか? あの桃色〝吸血鬼〟は?」
「今、叩き起こさせてる所なのです」
ぶっ! 意外に鬼だな。アリス。
俺も黒芒を起こすか……と思い「おーい、黒芒、少しだけ起きろー」と、影に潜る黒芒を必死に俺が起こしていると、ダッダッダッダと、廊下を走る音が聞こえバンッと、扉が開かれる。
「オイ! ユキマサが来てるって!!」
桃色のサイドテールの長い髪の〝吸血鬼〟にして〝アーデルハイト王国〟の最強戦力である〝桃色の鬼〟フィップ・テルロズは現れた。
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