第700話 アーデルハイト王国
*
「へぇ、この国も城塞都市なんだな」
ぐるりと国全体を囲む大きな壁。国一つ覆うんだ長い年月を費やして作られたのは明白だろう。
宙船はジャンの顔パスで一秒ぐらいですんなり検問を抜けられた。
流石は〝アーデルハイト王国〟のNo.2の執事長様だなー。別名・妖怪世話焼き爺。
「このまま王宮に行くのか?」
「はい、そのつもりでございます」
「って、あれが王宮か? 〝シルフディート〟の王宮の数倍はあるぞ」
でけー、日本の大型ショッピングセンターライオンなんか目じゃねぇよ。
そのまま国の上を通り抜けて王宮へと入る。
「ジャン様、お疲れさまでございまし……た……て、え? そちらの方々はまさか……」
「お嬢様にお客様が来てると伝えて下さい」
「アリスお嬢様ならこちらに向かってますよ」
そんな会話を聞いていると、
「ジャン遅いのです。心配するではありませんか!」
トコトコと相変わらずのゴスロリ服と自身の半分はあるかという熊のぬいぐるみもったサラサラの黒髪の小さなお姫様ことアリス・アーデルハイトは現れた。
「で、私にお客とは? ジャンやフィップからも何も聞いて……」
俺と目が合うと、パッチリ黒眼をまんまるに見開いた。
「よう、アリス〝大都市エルクステン〟振りだな? 邪魔してるぜ。って、おーい、聞いてっかい?」
「ゆ……」
「ゆ?」
お湯かな?
「ユキマサぁぁ! 何をやっていたのですか、お前はぁ! 人がどれだけ心配したか……」
最初は大声で叫びタッタカとミニダッシュし、最後はか細い声で呟き、アリスの目線までしゃがんだ俺の肩にコツンと小さなおでこをぶつけてきた。
「悪かったな。俺もバタバタしてて手紙の一つも書けやしなかった。ほんとすまん。いや、ごめんなさい」
年下だから、まだ相手が子供だからと、すまんや悪いで流しちゃダメだよな。
悪いことをした時は誰に対してもごめんなさいだ。
アリスに謝った俺は頭を下げる。
本当にごめんなさいと。
心配してくれてたんだな。
こんなちっちゃい身体で真剣に。
「無事ならもういいのです。それとそこのお前たち、片方は〝大都市エルクステン〟で見かけた顔ですね」
アリスの視線が俺からクレハと桜に向けられる。
「面倒なので最初に言っておきますが、私のことはアリスと呼ぶのです。様付けや敬語は不要なのです」
「え、でも、流石に王族を相手に敬称を付けないのは……」
クレハが困り、桜もうんうんと頷いてる。
「これはお嬢様なりの友好の証です。お二方と仲良くなりたいのでしょう。迷惑でなければお嬢様の言葉通りに接していただければ幸いでございます」
付け加えるようにジャンが優しく嬉しそうにそう言った。
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