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第686話 魔女の家28



「イヴリス軍の魔族の中でも奴は最弱ってか? どこの四天王だよ。あ、いや、三人か……」


 四天王って絶対に四人じゃないよな。

 お約束だよ。最早、まあニールスは今の話の中で四天王なんて一言も言ってないけどさー。


「イヴリスの配下には確か厄介なのが一人おったの」

「珍しいな。黒芒、お前が厄介なんて言うとは」


 黒芒が言うんだ間違いなく強い。


「私の思う魔族と黒芒殿の言う魔族は同じだろう。奴の名を──サイハテ。ユキマサ、奴こそ最強の魔族だ。寧ろ、魔族の(くく)りに収まってる方がおかしいレベルの化物だ」

「回りくどいな? 実力は魔王レベルだと?」

「イヴリスを除けば、魔王でも奴には勝てんかもしれん。知能も高く、徳の高い人類の心臓もいつくも食している。私もあわや心臓を取られる所だった」


「徳の高い心臓ってのは何だ? 普通の人とは違うのか?」

「王族や貴族と言った者は生まれながらに心臓に宿る力が強いのだ。他には聖女や幻霊種(パンタシア)は勿論、レベルの高い者の心臓も奴らに取っては特大のご馳走だ」


 まあ、何となく分かった。

 フォルタニアにも沢山話しは聞いてたしな。

 簡単に言えば心臓版の三蔵法師(さんぞうほうし)だろう。

 その生肝を欲した妖怪が集まった話がある。

 

「そうだ。キミたちは知らないだろうが、先代の大聖女を倒し、その心臓を食らったのが魔族サイハテだ」

「何だと!? 先代の大聖女って言うと、もしかしてノアの母親か?」


 ケンセイは家系じゃないらしいが、黒芒の話から察するに大聖女は家系っぽいからな。

 まあ、養子の可能性もあるが。どちらにしろノアの関係者なのは間違いない。


「ノア・フォールトューナ。当代の大聖女か。フォールトューナ家は代々に大聖女の家系だ。当代の大聖女の母君で間違いないだろう。可哀想に……」


 そう言いながらニールスは酒を煽った。


 ノアが何歳の時の話しか知らないが……あいつも苦労してやがるな。

 本人の前ではあまり触れないでおこう。


「サイハテ。えらく懐かしい名前が出たわね。あの魔族とは私も一度戦ったわ。負けたけど心臓を取られなかったのは〝正義〟に助けられたおかげね」

「正義? 二つ名か?」

「ええ、もう千年以上前の話よ。もうあの子も生きてないわ。強かったけど、死んじゃったわ……」


 寂しげにリリリは酒を傾けた。何度も出会いと別れを繰り返して来たのだろう。

 その表情はとても儚げだ。


 てか、リリリが負けたのか。リリリは相当強いぞ。

 〝正義〟ってのは誰か知らないが、リリリを助けられる程の奴だ。こいつも相当な実力者で間違いない。

 


 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


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 (また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


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