第685話 魔女の家27
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長い時間を終わることを知らない、満開の桜の花弁がとても綺麗で、それと同時に何処か儚げだった。
そんな桜の木の下での宴会は日が落ちても続いた。日が落ちた後はリリリの魔法で提灯が辺り一帯を包んだ。
酒を飲み、料理を食らい、昔を話し、夢を語った、
「こんなに楽しいのは何時振りかしら。少なくともあの子が亡くなってからは初めてかもね。黒芒にもこうして会えると思ってなかったわ」
「妾も千年後の世で知人に会えるとは思うとらんかった。あの大戦の世も〝天聖〟と奴の血の繋がらぬ〝五兄弟〟が、一先ずは終わらせたか。ハッキリ言って、千年前の妾は人類は後少しで終わると思っておったぞ。よう、上手くやったもんじゃの」
もう何杯目か分からない木樽の酒を飲み干す黒芒。
「主様よ。杯は無いかの? 折角の夜桜じゃ、別の器でも飲みたい」
「お、イイねぇ。杯なら沢山あるぜ。リリリ、ニールス、お前らもどうだ? てか、まだ飲めるか?」
「私も貰うわ。後、魔女は酒に潰れないのよ」
「では、私も貰おうか。私は少し酔ってきたな。だが、まだまだ飲むぞ! 今夜は無礼講だ! ハハハ」
杯を四つ出し、皆で何度目か分からない乾杯をした。飯も俺たちは沢山食べた。俺とニールスの男組も、まあ、それでも下手な奴よりは綺麗に行儀よく食べたと思う。
……だが、問題は黒芒とリリリだ。
何だコイツら何でこんなになんだ。
作法とか行儀がイイとか言うレベルじゃない。
食べ物を口に入れて噛み、胃袋に流す。
ただそれだけの行為が神秘的なまでに美しかった。
「あー、悪いな。クレハと桜、面倒かけて」
この宴には縁の下の力持ちがいる。
他でもない、クレハと桜だ。
適度に水を汲んできてくれたり、酒のつまみを作ってくれたりする。
特にクレハの作ってくれた唐揚げと桜の玉子焼きは絶品だった。
マヨラーのニールスが「マヨネーズが進むな」と、嬉しそうにしていた。
そして数時間前から二人は締めの味噌煮込みうどん(俺の勝手な希望で)を作ってくれている。出汁の文化が分かってきたクレハにスープは任せ、桜はコネコネとうどんの麺を作ってくれている。
「ユキマサ、そう言えば、魔族アルケラを倒したのもキミらしいな?」
「ん? ああ、あの魔族か。倒したぞ」
「アルケラは三人いる魔王イヴリス直属の魔族の一人だ。魔族の中では若輩者で実力もイヴリス軍の他の魔族と比べると足元にも及ばないが。気を付けろ、どうであれキミはイヴリス軍に手を出したことになる」
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