第679話 魔女の家21
「リリリ、そなた、子供は居なかったじゃろ? それとも妾が眠ってる千年に子でも出来たか?」
少し興味が有り気に黒芒にが問う。
まあ、千年あれば子はおろか、孫や曾孫、その下までいても何ら不思議ではない。
むしろ居ない方が不思議なぐらいだ。だって千年だぞ、千年! 千年子供いませんてなると少子化半端ないんじゃないか? 日本とか少子化が問題なってたけど、異世界でも少子化は問題なのか?
「そうね。私に子供はいないし、そもそも子供を作る行為をしたことが無いわ。魔女は貞潔なのよ。私が言ったのは弟子の話。生涯で一人だけ弟子を取ったの」
ふふふ。と、儚げに微笑みながらリリリが遠い昔を思い出すように語り始める。
後、魔女は貞潔らしく、その身は未だに純潔らしい。まあ、俺はリリリみたいな方がタイプかな。
少子化? さあ、知らないな。
「もう900と61年ほど前の話よ。興味本意であの子を拾ったのは戦火に包まれた村であの子と会った時。親も兄弟も無く孤児のあの子は戦火の中で泣いていた」
黙って酒を飲み、肉を食べながら、リリリの話を聞く。リリリ自身も綺麗にナイフで切った肉をフォークで口に運んで行く。
「『どうしたの?』と、私が訪ねると小さな声で『寂しい』とだけ泣きながら言った。最初は戦火に包まれた村を見て亡くなって行く人々を見て寂しがってるのかと思ったけど違った。
あの子は戦火に包まれる村を消えてく命に対して自分が何もできないことを悲しいではなく寂しいと言った。私を見て『自分も魔法を使いたい』と泣きついてきた。私も最初は困惑したわ。気がつくと私は『なら、私の弟子になる?』と、聞いていた。今思い出しても我ながら、らしくないことを言ったと思ってる
何も出来ずに寂しいって言葉に少しだけ私は興味をもった。それが私が弟子を取ると決めた理由」
また綺麗にステーキを口に運ぶと話を続ける。
「でも壊滅的なまでにあの子は魔法の才能が無かったわ。初級の初級魔法の〝ファイアボール〟ですらまともに使えない有り様。流石の私も頭を悩ませたわ。
それでもあの子は諦めなかった。何度も何度も、何年も何十年も魔法を磨いた。それでも魔法のレベルは誰が見ても下の下。たった80年。それがあの子と過ごした時間で、あの子の寿命。人の子の寿命は何と短い。でも、最後の最後にあの子は誰も考えもしなかった魔法を完成させた」
そう言うと酒をゆっくりと一口飲み、窓の外の立派な大きな桜をリリリは見た。
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