第678話 魔女の家20
「ユキマサ、キミは飲まんのか? この世界じゃもう酒を飲んでも問題ない歳だろう?」
「いやまあ、飲む時は飲むが、酔っぱらいが四人になったらクレハと桜が可哀想だろう」
「ユキマサ君、私には気にせず飲んでいいよ?」
「私もです。気にしないでください。お爺ちゃんもお婆ちゃんもお酒は好きでよく飲んでましたから」
と、クレハと桜に背中を押され。
「主様の木樽はこれを使うがいい」
「はい、どうぞ」
黒芒に木樽のコップを渡されリリリに酌をされる。
そして極めつけは……
「では、酒が行き渡った所で、改めて、乾杯!」
ニールスがノリノリで乾杯の音頭を取った。
あー、もう分かったよ。
飲むよ、飲めばいいんだろ!
「乾杯。ニールスは勿論、リリリとも酒を飲むのは初めてか。自分で言うのもあれだが、酒癖はいい方なんだ。安心してくれ」
リリリとニールス、そして黒芒と木樽を合わせながら俺はそう伝えておく。
乾杯も済んだところで木樽に入った、魔法で作り、魔法で冷やされた酒を口に運ぶ。
「う、美味いな……!?」
「ふふ、でしょ。ウチの水から作ったお酒は美味しいのよ。巷で噂のエルフ酒にも負けないわ」
確かにノアに貰ったエルフ酒にも負けないな。あんな一瞬で作った酒なのに。流石魔女様だ。
まあ、それぞれにイイ所があるから、どちらがどうと甲乙付けがたいが。
「なあ、リリリ、この酒を樽でいくつか売ってくれよ。飲ませたいやつがいるんだ」
ノアの手土産にはもってこいだろう。
エルフ酒の礼だ。
「そういうことなら一樽でも十樽でも持っていきなさいな。お金は要らない。その代わり今度そのお酒の感想をまたここに聞かせにきてくれればそれでいいわ」
「え、そんなんでいいのか?」
「私にとってはそれが生きる楽しみになるの。知人が土産話を持ってで訪ねてくれる。ね、素敵でしょ」
そんな素敵な話をするリリリは少し寂しげで儚げだった。でも、その姿がドキッとするほど美しかった。
「ああ、じゃあ飛びきりの土産話を持ってくるよ」
「でも、約束はしなくていいわ。期待しちゃうもの」
「しなくていいのかよ!? してみたかったんだかな。魔女との約束。何か凄そうだろ」
〝悪魔との契約〟ならぬ〝魔女との約束〟とは、それこそ何とも異世界チックで素敵じゃないだろうか? まあ、完全に俺の好みの話なんだけどさ。
「私と約束した人は高確率で死んでしまうの。別に私にそんな変なスキルがあるワケでも、呪われてるワケでもないけど、変な偶然でね。あの子もそうだった」
やはり寂しげな魔女は少しだけ天井の天を仰いだ。
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