第677話 魔女の家19
「クロエスは何て言ってた?」
これも俺は軽く問いかけていた。
責めるつもりは一切無い。
「私がイヴリスに負けたこと。恋人ができたこと。死にたくないことを告げると、彼女は言ったよ」
一瞬の間の後にニールスは再び口を開いた。
「『ありがとう。自由に生きなさい』と。交わした約束を守れなかった私を彼女は許したのだ。不覚にも私はホッとし涙を流してしまった。ははは、私はこう見えて泣き虫なのだよ」
そう言ったニールスの瞳には小さく涙が浮かんでいた。
「すまない。時間を取らせたな。さあ、食べようではないか。こんなに美味な食事はそうは無いぞ」
手の止まってた皆(黒芒以外)にニールスが語りかける。てか、黒芒のマイペースさ半端無いな。
ニールス泣いてるのに普通に肉食べてたぞ。少しお説教が必要かな。なんてな。正直言って今黒芒のマイペースさがあったから少し場が下がりきらなかった。
偶然かわざとかは知らないが、やるじゃねぇかよ。黒芒。酒も大分飲んでるけど。本当にコイツ顔に出ないな。日本人形のような真っ白な綺麗な肌に酒で赤くなるような様子は全く無い。
えーと〝幻霊種〟って皆こう酒強いの?
……ん? ん!? もぐもぐ。 んんっ?
「おい、ニールス、クロエスとはどうやって会ったんだ? 話を聞くに、お前転生後も少なくとも神様と連絡取ってるだろ?」
もぐもぐ、ごっくん。と、肉を胃袋に流し込みながらニールスに問う。
「ん? ああ、夢で会ったのさ」
「ノアも同じような事を言ってたな。ノアの場合は如何にも大聖女チックな〝神託〟ってものらしいが」
「私は、キミもだが、直接神様に会ったからな。神様との距離が近いんだ。少しした弾みで天界と繋がってしまう。私の場合も睡眠がキーらしい。クロエスの話だと、実際は睡眠では無く魂が抜けて天界に呼び込まれたらしいが、詳しくは神のみぞしると言うやつだ」
そこでニールスは酒を飲み干した。
リリリが空になった酒を注いでやると。
「いやはや、美しい女性に酌をされるとついつい酒が進んでしまう。そんなつもりは無かったんだがな」
美人魔女のリリリにデレデレしてるニールス。
「おい、最高の恋はどうした? 既婚者」
「疚しいことはない、ただ酒を注いでもらっただけだ。この歳にもなって浮気などするものか。いや、若くても私はせんがな」
まあ、疚しくは無いわな。
でも、ウチの親父の場合は母さん結構厳しいというか、見かけによらず嫉妬深かい方だったから、見た目は二十代半ばのイケメンの親父が和菓子屋に来た女性客から何かプレゼントをもらったりキャーキャー騒がれてたりしたら、晩飯のおかずが一品減ってたなー。
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