第673話 魔女の家15
「魔王ガリアペストか。あの程度ならば私も遅れは取らなかっただろう。私が敗北したのは魔王イヴリスだ。あの魔王だけは言葉の通り魔王としての格が違う。奴こそが間違いなく最強の魔王だ。キミは奴に勝てるか?」
ニールスは鋭い目で問いかけて来た。俺が返事を返そうとするとそ、慌てた様子でクレハが口を開く。
「待ってください! 魔王イヴリスと言えば、60年前に魔王が復活して以来、唯一その足取りが一切観測されてない。幻の魔王ですよ!? 〝八柱の大結界〟で制限された、活動できる魔王の期間の名称の一つ、通称イヴリス期は、今では平和の時期とまで呼ばれています。本当に魔王イヴリスと対峙したのですか!?」
驚愕の表情でクレハは言った。聞いた話しだとクレハはギルドの学科試験でも首席だそうだ。
知識が強い分、驚愕も大きいのだろう。
「ああ、その通りだ。私はクロエスからイヴリスの居場所を聞いた。魔王領に乗り込んだ私は完膚なきまでに叩きのめされた。今、命があるのは奇跡だろう」
「俺に勝てるのかと聞いたな、返事は一つだ。勝つしかないだろ。それが俺の役目だ。つーか、話を聞くと、惨敗だったってことでいいか?」
「ああ、惨敗だった。あれほど何かを恐れたことは私は後にも先にも無い。その後、私は魔王とは戦っていない。本当なら〝準勇者〟等と呼ばれるのも変な話しなのだ」
「つまり、嫌な言い方をすれば逃げたってワケか? 言わば魔王討伐はクロエスとの約束なんだろう?」
「ちょ、ユキマサ君!? 踏み込み過ぎじゃ」
「いや、お嬢さん。気にせんでいい。その通り、私は負けて、そして約束も果たさず逃げたのだ」
困ったようにニールスは頬を指で掻いた。
「理由はあるんだろうが、聞かないで置いてやる。そんな困った顔は中々できる奴はいない。あんたも大概に優しいな〝準勇者〟ニールス・アスプレイ」
「キミも大概だな。ユキマサ、そんなキミにだからこそ是非に頼みたいことがある。聞いてくれるか?」
「聞くだけならな。後は話し次第だ」
「恥ずかしながら頼む。魔王イヴリスを止めてくれ。時期が来れば、奴は他の魔王とは少し考え方が違く、完全に人類を滅ぼすつもりだ。そして今の人類の戦力では〝大聖女〟も含み、あれには絶対に勝てない。
頼みの綱の〝六魔導士〟も、今や〝四魔導士〟だからな。まあ、どちらにしろ、今の〝王国魔導士団〟では、魔王イヴリスには勝てやしないが……」
頼む。と、ニールスは頭を下げた。その背中には何か大きなものを背負ってるように見えた。
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