第664話 魔女の家6
「はい、完成♪」
ものの数分で酒が出来た。
うわ、魔法すげー。酒屋泣くんじゃない?
いや、リリリがスゴいのか?
「この世界の酒は全部魔法で作るのか?」
「いや、主様よ。魔法で酒を作れるのは極僅かな者に限られる。こんな短時間でこのクオリティは僅かの中の更に僅かじゃ。流石じゃリリリ、貰ってよいか?」
「ええ、勿論。ふふ、黒芒はお酒好きだものね。私も飲もうかしら♪」
「それはよいのう。主様もどうじゃ?」
「俺は遠慮しとくよ。まだ昼だしな。久しぶりの再会なんだ二人で乾杯でもしな」
俺は黒芒の酒の誘いを断りながら、黒芒とリリリが楽しく飲めるように〝アイテムストレージ〟からハムやチーズに〝スノーワイト〟で買った残りのイカ焼き等を丸テーブルに並べてやった。
〝スノーワイト〟からは日が経ってるが、俺の〝アイテムストレージ〟に入ってる物は腐らないので、まだまだ全然美味しくいただけるどころか、焼きたてそのものだ。イカ焼きはお祭りの屋台の焼いた醤油の何とも食欲をそそる香りを出しながらホクホクしてるよ。あ、やべ、ちょっと飲みたくなって来たな。
「おお、主様、気が利くの。実に酒に合いそうじゃ」
「私もいただいていいのかしら?」
「おう、茶の礼だ。遠慮せず食ってくれ」
「ありがとう。いただくわ。そう言えば自己紹介の途中だったわね。私の名はリリリ。まあ、いろはの魔女でもリリリでもそれ以外でも好きに呼びなさい」
と、いろはの魔女はおっしゃるので、
「じゃあ、リリリって呼ばせて貰うぜ。いろはの魔女って何か呼びにくいしな」
俺はリリリ呼びを決める。
「食事なんて久しぶり」
「久しぶり? 何も食べて無いのか?」
「私は食事を必要としないのよ。別に食べても問題ないけど最近は面倒で食べてなかったわね」
面倒で食事をしない奴は初めて聞いたな。
食事を必要としないはロキが記憶に新しい。
あいつも元気かなー。多分〝魔王戦争〟の後処理だとか、今後の方針で、てんやわんやだろうけど。
「すげー魔女っぽいな。水分は必要とするのか?」
俺の質問にふるふるとリリリは首を横に振った。
「普通ならば水も必要ないわ。でも、ここの水は美味しいから飲んでるだけよ」
リリリがまた杖を振ると、ぷかぷかと浮かびながら戸棚から出てきた木樽が二つ、リリリと黒芒の前に置かれる。
木樽に酒を注ぎ、二人で乾杯を始めた二人を俺とクレハと桜は静かにみていた。
でもきっと俺たちは三人とも同じことを考えていたと思う。リリリと黒芒、再会できてよかったなと。
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